第7話
翌日、魔王城湯治村化計画書をエスドに確認してもらい
どうにかこうにか了承を得たクーロは現在、城の改修を行うための協力を
ゴーレム族の部下に取りに向かっていた
なにせ城を改修するのだ 力自慢であり、素材に詳しい種族を頼るのは当然だ
ところで魔王城はとても広い
ビルで言えば10階建相当だ 地下も含めるともっと広い
ちなみに地下にはダンジョンもあるので 冒険者から見ればそこも魅力的だろう
とりあえずダンジョンは後でもいい
城の3階までを改装しようとクーロは考えている
一階は浴場と食事処、休憩所に土産物屋 子供向けの広場 マッサージ施設も考えている
二階は宿泊施設と宿泊客用の浴場、食事処に酒の飲める専用の部屋 そして長期滞在者用に医者を常駐させる予定だ ここまでが一般の客向け
三階は貴族などの上客向けだ 浴場、食事は各部屋で、乗客用の医者も常駐させる予定
城から街に出れば土産物屋をメインに食事処、宿泊施設兼風呂屋を多数配置して
魔王城、城下を一大温泉観光地にすれば 傷を負った冒険者を始め、病気療養を目的とした一般人も多くくるようになるだろう
「まずは城の改装だ エスドも許可をだしてくれたし、大丈夫だ、多分大丈夫だ」
そう、クーロは呟きながら部屋の前で深呼吸をする
目的の部下の部屋の前だ 意を決して部屋をノックする
事前に向かう旨を伝えて、許可を得ているので部屋にいないとうことはないのだが
礼儀としてノックするれば すぐに部屋の扉が開く
「よくぞ参られたクーロ様 どうぞ中へ」
部屋の扉を開けたのは部下であるゴーレム族の ゴウワ・ンだ
ゴーレム族特有のゴツゴツした岩のような外見ではなく 筋骨隆々の肉体を惜しげも無く
晒した服を来ている 顔は美丈夫といったところだろうか 浅黒い肌は健康そのものなのだが
これは一応、仮の姿だ 本来の姿は巨大で城の中に収まらないため、仮の姿を取っている
クーロは招き入れられてそのまま部屋に備えられているソファーへと腰を下ろす
そこへすかさず侍女が紅茶とお菓子を用意して すっと後ろに下がる
礼を言ってからまずは一口紅茶を飲む
自分の侍女が淹れてくれる紅茶とはまた違った味わいの紅茶に美味いなと言った後
菓子を一つ口に放り入れる
ゴウワはもまた同じように紅茶と菓子を味わった後 クーロを見る
少し前、魔王になったばかりのまだ若い魔族の娘だ
初代魔王の血を脈々と受け継いできたであろうことはその初代魔王譲りの
漆黒の髪と夜のように深い黒の中にはキラキラと星が瞬いているように見える瞳が物語っている
漆黒の髪はアゴより上で短く切りそろえられ 顔には疲労の色が見て伺える
先代、先先代より現在の魔族領の事を憂い、状況を打破しようと奔走しているということは耳に入っているし、また走り回る姿を目にしている 疲労はそのためであろうとゴウワは考える
そんな事を考えているゴウワにクーロは疲れてはいるがやる気に満ちた目でゴウワを見る
「ゴウワ・ン将軍 お願いがあってまいりました
ですが、お話の前にまずはこの資料を見ていただきたいのですがよろしいですか?」
そういってクーロはゴウワに計画書を手渡す
「クーロ様、部下である某に敬語は不要ですぞ」
ゴウワは返事をしながら資料を受け取りそれでは失礼してと読み出す
それをクーロは緊張しながら読み終わるまで紅茶や菓子に手を出すことなくじっと待つことにした
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