第45話 エピローグ 七

 旅行から帰って来た後、直接病院に行きたいとのことで、僕は美玲をかかりつけの病院まで送りながら歩いていた。そしてその道中、僕はそんな、ふと思ったことを美玲に話す。

 すると、

「ちょっとかずくん~何かキザじゃない?」

とツッコミをくらう。

 「いや~最後くらい、かっこ良くキメようと思って…。」

「でも私、いつものかずくんの方が好きだな~!」

「そ、そう!?」

「そうそう!そんな不器用っぽいかずくんが、大好き!」

「そう言われると照れるなあ~!」

僕たちはそう言って笑う。

 そして、

「だから次にかずくんと逢う時も、そんなキザな言い回しは止めてね。

 私、記憶をなくしても男の子の趣味は変わらないと思うから。」

という美玲の冗談混じりの一言で、僕たちは一旦「さよなら」をしなければならないという現実を再確認させられる。

 「かずくん。今まで、私本当に楽しかったよ!だから…。

 これから、新しい私になっても、いっぱい想い出作ってね!」

「僕も美玲に逢えて良かった!もちろんですとも!」

「でも私を口説くの、大変だから覚悟した方がいいですよ~!」

「はいはい、分かりましたよ!」

 そう言って、僕たちは無理矢理笑う。

 「さて、着いたね病院。」

「そうだね。」

「じゃあここで。

 さよなら。そして、また逢いましょう、かずくん!」

「またね、美玲!」

そう言い合って、僕たちは、「さよなら」をした。

 そう、これが、僕と美玲が出会い、そして別れるまでの、些細な物語である。

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