第41話 エピローグ 三

 そして、美玲は大学生になった。大学生になってからも「幸せの美玲ちゃん」は健在で、美玲の周りには、常に人が集まるようになっていた。

 そしてそんな美玲には、気になる人が1人いた。

 その人は、美玲と違いいつも1人でいる。そして、周りの人間と交わろうとしない。

 どちらかというと1人になることが怖かった美玲は、その人に少し興味を持った。

 そして、それはある日のこと。

 たまたま美玲の実家のペットの猫が家からいなくなった。

 美玲はその猫を必死に探すが、なかなか見つからない。

 そんな時、その「青年」が、美玲に声をかける。

 「あの…、この猫の飼い主さんって、あなたですか?」

そこで、美玲は驚いた。その青年は…、大学で見かけた、「1人ぼっちの人」ではないか。

 「はい。そうです!ありがとうございます!」

「いえいえ。でも良かった!ちゃんと飼い主さんが見つかって…!」

「…優しいんですね。」

美玲は、その青年に自然とそう声をかけていた。

 「僕は優しくなんかありません。現に、友達もいないし…。

 でも動物は違います。動物には何の罪もないですから。

 …ってすみません。わけ分かんないですよね。じゃあこの辺で、失礼します!」

「あ、あの…。」

美玲の呼び止めも虚しく、その人はその場を去っていった。

 そして、美玲の気持ちには、ある変化が現れていた。

 『あの人、友達はいないって言ってたし、いつも1人でいるけど、本当は優しい人なんだな。

 何か私、幸せな気分になっちゃった!

 …でも、どうしてあの人には、友達はいないんだろう…。』

それは、美玲の中に芽生えた、ほのかな恋心であった。

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