第26話 光 十四
「もしもし、美玲…?」
その日の晩、僕は美玲に電話をかける。
「かずくん?」
美玲の声は、いつもと変わらず、元気な調子だ。
そして僕は、心の中で土下座をして、美玲に電話ごしに話しかける。
「さっきはごめん!ひどいことを言っちゃいました!
僕、本当に美玲のことが好きで、たださっきは、美玲に当たらないと、自分のメンタルが崩れそうで、それで…。
もう2度と、あんなことは言いません!だから…、許して、美玲!」
すると美玲は、電話ごしにおかしそうに笑う。
「…美玲?」
「ごめんかずくん。だって、かずくんの謝り方、面白いんだもん。
私、全然怒ってないよ!私、かずくんのこと信じてるって、さっきも言ったでしょ?」
「ま、まあ…。」
「だから、この話はもうなし!」
「でも…、」
やっぱり美玲は優しい。ただ、僕は美玲に借りを作ってしまったことになる。これだけは返したい。僕がそんなことを美玲に言うと…。
「分かった。じゃあ1つだけ、私のお願い聞いてくれる?」
「もちろん!」
「実は私、行きたい所があるんだ~!
一緒にそこ、言ってくれない?」
「えっどこどこ?」
「私、姫路城に行ってみたい!」
「は、はあ…。」
姫路城。それは兵庫県姫路市にある、世界遺産にもなっているお城だ。
もちろん僕はその存在は知っている。
そして僕は、
「分かった。美玲が行きたい所なら、僕はどこだって行くよ。」
と美玲に伝える。
「やった~ありがとう!
じゃあ夏休みになったら、一緒に姫路市に行こうね!
楽しみだね旅行!」
「うん。そうだね。
じゃあそれまで試験勉強頑張ろっか!」
「うん!」
こうして僕たちは旅行の約束をして、残りの試験勉強をお互いに頑張ることにした。
この時の僕は、本当に美玲との旅行が楽しみでしょうがなかった。
そう、僕はこの時、美玲を取り巻く「ある事実」について、何も知らなかったのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます