三肌脱ぎ……
本物の二人は穴の中にいた。
以前ダダンが掘り返し、レヴィが落ちそうになった場所だ。
爆轟が止み、キィィィィィンという耳鳴りが引いていく。
穴の一つから恐る恐る頭を出すレヴィ。
黒蛇は尾の先っぽだけを残して岩盤の向こうに潰え、身動ぎ一つしない。
少女はぱちぱちと目を瞬いた。
「……か、勝てたの?」
「みたいだな」
「……みんなを守れたの?」
「ご希望通り」
「……や」
「や?」
「――――やったぁ!」
「おぶっ?!」
抱き付いてくるレヴィ。少年は勢い余って押し倒された。
馬乗りになった少女が「やったやった!」と体を揺する。
「すごいわ、ダダン! こんな作戦思いつくなんて!」
「だろう? 何せ俺は、世界一あったまいい男だからな!」
「あたしも! あたしも頑張ったわ! 世界一ちょうだい、何か!」
「世界一泥臭いお姫様」
「――――あんたがやったのよ!?」
レヴィは泥まみれだった。コウモリの巣に入る直前、衣服を全て剥ぎ取られ、代わりに泥を塗られたのだ。
大蛇の鼻を騙すために。
当然、少年も同じ格好。
彼はここに先回りして、爆弾人形を準備していた。レヴィの役割は、彼のための時間稼ぎだったのだ。
作戦は成功し、黒蛇は討たれた。
残る問題は一つだけ。
レヴィは急に我に返り、はしたない姿に赤面した。
「……ねぇ、ちょっと。この格好。……あたしたち、どうやって帰れば良いの?」
「方法は二つある。……泥まみれで帰るか、綺麗に洗ってすっぽんぽんで帰るか」
「――――どっちも嫌よっ!!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます