第4話 オリンピック、前夜1
「白血病!? 私が病気だっていうの!?」
ここは病院の診察室。一人の女の子が医師から自分の病名を聞かされる。今まで健康に生きてきた人間が、いきなり自分は病気だと言われても、第一声は信じ難いものである。
「ところで、白血病って、何?」
そして病気のことは、全く知らない。当然だろう。健康に生きてきた人間には、病気など他人事なのだから。「可哀そう。」と軽く思うことはあっても、自分自身が病気ではないので関心がないのが普通だ。
「私は白血病・・・。」
彼女は生気が抜けたように力無く病院の廊下を歩く。医師から白血病の説明を受けたのだった。
白血病(はっけつびょう、Leukemia)は、「血液のがん」ともいわれ、遺伝子変異を起こした造血細胞(白血病細胞)が骨髄で自律的に増殖して正常な造血を阻害し、多くは骨髄のみにとどまらず血液中にも白血病細胞があふれ出てくる血液疾患である。白血病細胞が造血の場である骨髄を占拠するために造血が阻害されて正常な血液細胞が減るため感染症や貧血、出血症状などの症状が出やすくなり、あるいは骨髄から血液中にあふれ出た白血病細胞がさまざまな臓器に浸潤(侵入)して障害することもある。治療は抗がん剤を中心とした化学療法と輸血や感染症対策などの支持療法に加え、難治例では骨髄移植や臍帯血移植などの造血幹細胞移植治療も行われる。大きくは急性骨髄性白血病 (AML)、急性リンパ性白血病 (ALL)、慢性骨髄性白血病 (CML)、慢性リンパ性白血病 (CLL) の4つに分けられる。(ウィキペディアより。)
「意味が分からない? 血液のがん? 私は死ぬの? 私は正常じゃないの? 細胞だの、骨髄だの、医者のいうことなんか、全く分からない!?」
彼女は常軌を逸していた。いきなり「あなた死にますよ。」と言われて、「はい、死にます。」と答える人間もいないだろう。今、彼女の頭の中は混乱して正常に物事を考えることができなかった。
「日本の医学は世界一なんでしょ!? だったら白血病くらい直しなさいよ!? 私の病気を治しやがれー!!!」
医者はしっかりと治療方法も言ったのだが、彼女は聞く耳を持たなかった。それほど、自分が死ぬ、自分が死ぬかもしれないということのインパクトが大きかったのだ。混乱が不安を呼び、彼女の情緒不安定はエスカレートしていく。
「ここは病院です。廊下では静かにして下さい。」
「すいません!?」
彼女は病院の廊下で看護婦さんに怒られた。自身の混乱よりも周囲の人間が気になり、彼女は恥ずかしそうに、我に戻った。
つづく。
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