第2話 カロヤカさんの弱点

「もう第1話で掴んだから、後は普段通りでいいだろう。」

 天は、やっと第1話のプレッシャーから解放された。

「天、お疲れ様。これからライト文芸部の活動はどうするの?」

 麗は、天に感謝する。

「もちろんセクシー下着の次は、セクシー水着写真集の撮影ですね。ニコッ。」

 笑は、ふざけたことを言う。

「セクシー水着か、セクシーアウトドアとセクシーナース衣装が無駄になったな。」

 大蛇は、真面目にコスチュームをコレクションしていた。

「ついに私が活躍する時がきたのですね! なんでもかんでも、カロヤカにお任せあれ。」

 カロヤカさんは、いつでも絶対無敵が信条だった。

「今日は重大発表があります!」

 顧問の苺が今回は冒頭から参戦していた。

「ファンからのお便りで「カロヤカさんが無双し過ぎで、面白くありません。ライト文芸部の部員全員に、弱点を作ってはいかがでしょうか?」採用しました! あとでカロヤカさんの直筆サインを送っておきます。」

「サインもカロヤカにお任せあれ。」

 カロヤカさんは達筆にサインを書く。

「この作品にファンなんかいたんだ!?」

 ザワザワする部員たち。

「はい! それでは一人ずつ、自分の弱点を発表してね! まずは部長から。」

 仕切っている時の苺は、いきいきとしている。

「私の弱点はない!」

 天は、自分には弱点はないと言い放つ。

「嘘を吐くな!」

「ギャア!」

 麗は、嘘つきの天にセクシー写真集の角で殴る。

「角はやめなさい! 角は! 本当に血が出るんだからな!」

 天の額は血が流れていた。

「カロヤカにお任せあれ。」

 カロヤカさんは、天の傷口に絆創膏を貼って止血する。

「ありがとう。カロヤカさん。」

「どういたしまして。」

 素晴らしき先輩後輩の友情である。

「私の弱点は、精神的な弱さだ。不正した作品がコンテストで大賞を取ったのが見て分かるので、作品が途中で腐ってしまう。」

「そうね。天は見かけによらずに純粋だから、不正は耐えられないのよね。」

「そうなんだ。私は悪くない!」

 天は、意外にも純粋にライト文芸を文学として楽しんでいた。

「そういう、麗はどうなんだ?」

「私の弱点? 私の弱点は、セクシー写真集の角で殴ることかしら?」

 麗の好きな本は、セクシー写真集で押してみる。

「それのどこが弱点なんだ?」

 天たちは、麗の言っていることは弱点でなく、攻撃だと思う。

「何か言った?」

「いいえ!? 何も言っていません!?」

 しかし麗にセクシー写真集の角で殴られるのが嫌で、部員たちは首を横に振る。

「次、笑。」

「私の弱点は、お金。ああ~! お金が怖い! たくさんのお金があったら私の体は溶けて滅びてしまう! ああ~! お金が怖い! お金~!」

 笑は、お金が欲しいので、お金が怖いと言ってみせる。

「相手にするな。放置しよう。」

 自分の演技に酔いしれている笑は放置プレイされた。

「大蛇の弱点は?」

「私の弱点は、真面目過ぎ所かな。他には、これといって個性もないし。」

 大蛇は、自分のことを普通の人間だと思っている。

「あるだろ。おまえにはセクシーコスチューム集めという個性が。ニコッ。」

 すかさず笑が不気味な微笑みで大蛇を茶化す。

「それは良い趣味だな! これでコミケにコスプレして行けるぞ! ありがとう! 笑!」

 大蛇は、笑のアドバイスでセクシーコスプレ衣装集めという趣味を手に入れた。

「そ、それは、お役に立てて何よりだ。ガーン。」

 笑は、からかったつもりが感謝されて悲しかった。

「最後にカロヤカさんの弱点は?」

「私は、完全無敵! 才色兼備! 文武両道! 五里霧中! 弱点なんかあるわけない。」

 カロヤカさんは、スーパースターである。

「だから作ったじゃない。お化けが怖いって。」

 カロヤカさんの弱点は、か弱い女の子らしく、お化けや幽霊が怖いのである。

「え!? その設定は、本気だったのですか!?」

 完全無欠のカロヤカさんにも弱点ができた。

「そこで創作しました! 幽霊部員の桑原幽子さんと、本当の幽霊のおみっちゃんです。」

 天は、ライト文芸部の2年の幽子と部室に住み着いている本当の幽霊のおみっちゃんを紹介する。

「私は籍だけの幽霊部員なのに、なぜ!? 部室に!?」

 自分が担ぎ出されることに抵抗を感じる幽子。

「桑原さん、久しぶり。」

「苺先生、ご無沙汰しています。」

 幽子は、たまにしか来ない。

「初めまして! 本当の幽霊のおみっちゃんです。エヘッ。」

 おみっちゃんは可愛く笑ってみせる。

「こいつ!? 私と同じ匂いがする!? ニコッ。」

 笑は、幽霊を相手に臨戦態勢になる。

「こらこら、幽霊と張り合うな。」

 すかさず部長が仲裁に入る。

「本物の幽霊なんか出したら、実写のドラマ化の足を引っ張らないかしら?」

 麗は、現代ドラマ化の心配をする。

「そうかな? 逆に人気女優がやりたがる人気キャラクターだと思うのだが。」

 天には、本当の幽霊を登場させた勝算があるみたいだった。

「あの。」

「なに? カロヤカさん。」

「盛り上がっている所、申し訳ないのですが、私、お化け恐怖症は、既に克服しました。」

 さすがは我らのカロヤカさん。既にお化け恐怖症を克服していた。これで夏のお化け屋敷も大丈夫。

「なにー!?」

 予想外の展開に驚くライト文芸部の部員たち。

「カロヤカにお任せあれ。」

 こうして平凡に部活動は進んでいくのだった。こんなライト文芸部がコンテストで大賞を取る日がやってくるのだろうか?

「私の弱点?」

 おまけに苺にも弱点を聞いてみた。

「年齢不詳かな? ウフフフフッ。」

 ちなみに女性に年齢を聞くと殺される。

 つづく。

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