第20話 お勉強しましょ 3


 アレから3時間経過。


 えぇ、きっちり正座の刑はさせて頂きました。

 お説教付きで。


「ゴメンナサイ。モウシマセン」


 反省したようなので良しとしましょう。

 カタコトなのが気になりますが。

 再び部屋に戻りジルにお茶を淹れさせ、この先の話をすることにしました。


「驚かしたことは本当にごめん。たださ、ここに居るのが可笑しくない?」


 痛いところ突かれた・・・。

 どちらが悪いかと言えば私が悪いんだよな~(汗)


「まぁ、それはある!」


 開き直ります!


「デスヨネ。ここね、結界が張ってあるんだよ。森には魔獣が出るし」


 初耳。

 昨日は呑気に野宿ーとかしてたけど、そんな危ないモノが出るなんて・・・食べられなくて良かった!

 にしても・・・結界?

 通り抜けた感じとかなかったけどなぁ。


「だから俺が認識・承認しないと入れないんだよ。何で入れたのかが不思議。なんで?」


「なんでって、金色の玉に導かれて?」


「玉?金色の?」


「そう!だから私は何もしてない」

 何もしてないことには、胸はって言えるよ!


「ソウデスカ。さっきから精霊がいやに多いなと思ったら・・・愛し子なんだなぁ」


  愛し子?なんじゃ、それ?

 どちらかと言うと私、愛されてない。

 あっ・・・自分で言ってて傷つく(泣)


「あーー・・・そっか名前が無いから精霊が見えないんだな。あのな、名前ってのは大事で世界に認識させるって言う役目もあるんだ。まぁ名前があるからって精霊が見える訳でもなくて、精霊が見える最低条件が名前+魔力なんだよ。で愛し子は精霊に愛された子って事なんだけど、精霊に好かれるからその子の周りは精霊が増える」


「へーそう言えば私、初級魔法は使えるけど精霊見たことない」


「うん、名前がないからな。じゃなきゃ愛し子が精霊見えないなんてあり得ん。で、提案なんだが・・・俺が名前付けて良い?」


 そんな拾った犬・猫に付けるように言われも・・・。


「自分で決めちゃダメなの?」


「ダメ」


 んなキッパリ・・・。


「名前ってのは自分で付けないだろ?産まれた子供に名前を与えるのは親だ。だから自分で付けても意味がない」


 なるほど、納得。

 生まれたての赤ん坊がいきなり、私!◯◯ちゃん!とか言い始めたら恐怖しかないわぁ。


「うむ。なら致し方がない。ジルが付けていーよ!気に入らなかったら却下するからね」


「うん。なんか、もう・・・ね?」


 ガックリ項垂れてぶつぶつ何か言ってる、ジル。

 うわー・・・この人大丈夫か?

 誰だって選ぶ権利ぐらいは欲しい。

 変な名前やだ。


「そうだなぁ・・・リアとか?」


「・・・出てきたお家のメイドさんのお名前です」


「えっ!スマン。んー・・・エリスは」


 女性の強い見方ですが・・・。


「ダメ。てかヤダ」


「ソウデスカ・・・じゃあ!ルーチェ!」


「もう一声!」


「もう一声?!なら・・・ルーチェフルール!」


「よし、決まり!」


 うむ。よい名だ。

 ルーチェだけでも良かったのだが折角、日本人以外で生まれたのだか可愛い名前とかが良いよね。

 ルーチェだけだと、前に『フ』を付けたら某ぷるぷるしたのになっちゃうよ。


 で精霊が見えるかと言うと、見えん。

 嘘かよ。


「精霊見えない」


「本当に?きっかけが必要か?じゃあ、一回目を閉じて・・・」


 とりあえずジルに言われたとおりにする。


「次に“見える!!”と叫ぶ!」


 はっ?叫ぶ?


「見えるーーー!!!!」


 えぇ、力の限り叫びましたよ。

 恐る恐る目を開けたらそこには・・・。

 金色の玉が!


「は?金色の玉?どこにいたの?」


 疑問符いっぱいの私の前で、金色の玉がプルプル震えてピカーってなった。

 まぶしー!!!!!


「やっと話せたーー!」


 明るい声に目を開けると目の前に美人が。

 勝ち気そうなキリッとした金色の瞳。

 スッと通った鼻筋に楽しそうにニッと笑った口。

 1つに束ねた綺麗な金髪。

 フワフワと浮いております。


「やっと見える様になったね!ルーチェフルール!いい名前!」


 おぉう・・・怒涛の勢いでしゃべる金の玉基、金髪美人。

 テンション高いな。


「聞いてる!?ここまで案内したの僕なんだよ!」


 ん?僕?

 まじまじと金髪美人を見ると、胸にある筈のモノが・・・。

 ♂だったのか・・・残念だ。

 とっても好みのお姉さんだと思ったのに。



 後ろでわーわー言う金髪美人♂も傍目に、現実逃避させて頂きます。

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