苗床男と木刀姫

多感な漢

1 プロローグ

「あなた何者なの?」

 

 ヒトミは今まで何度も思っていた疑問を口にした。


「私はあなたの臣下であなたの無謀な復讐の旅にお供し、主に道案内と荷物持ちをしております。メットと申すものでございます」


 恭しく一礼するメットに嘆息する一同。

 メットは質問は受け付けないと前置きしてから口を開いた。


「俺がこの世界で一番最初に会った世界樹からの説明だと、世界樹の養分として召喚した無数の魂を木偶でくに詰めて放置していたらいつの間にか意志を持ちひとりでに動き出した、それが俺。戦争中は魔王・賢者・勇者・救世主なんて呼ばれてた」

  

 メットは崩れた城壁の上に登ると横になり。


「戦争が終わってノア王国に仕えてからは色んな役職を歴任して、この城壁も俺が作った。王国を追放されてからは四〇〇年くらいまぁ……フラフラして……後は一月前から一緒に旅しているんだから自分で判断してくれ。以上」

 

 戦争なんて千年以上昔の話だ、長命な種族でも精々三〇〇年くらいしか生きられない。それこそ神に等しい存在でもない限りはとヒトミは思った。




 


 



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