第16話 ダサいスーパーヒーロー

僕はヒーローにはなれなかった。意気地無しだから、目の前の敵から逃げて来たんだ。


絶望に背中を押され、線路に飛び込んだ。


目が覚めると僕はヒーローになっていた。けれど、それは見掛け倒しで全然強くなかった。敵からボコボコにされて地を這うばかり、ヒーローになってもどうしようもない僕に、声が聞こえた。


「負けるな!頑張れ!」


何人もの声援に背中を押され、立ち上がった。あの時とは違う、僕の背中を押したのは絶望じゃない、希望だ。何人もの希望。僕は必要とされている。


弱々しくてかっこ悪いけど確かに彼はヒーローだった。

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