第51話 8-9
帝都大学が焼失した数日後の昼過ぎ、ジュリの携帯電話に着信が入る。
それは警視庁で怪異担当課の人間である、清水からであった。
『もしもし、ジュリか。今、時間良いか?』
「ええ、こっちも聞きたいことがあったし」
『聞きたいこと?』
「いえ、後でで良いわ。それで?」
『ああ、お前らの話を聞いて、植野教授を洗っていたんだが、どうやら協力者が居たみたいなんだ』
「協力者?」
ジュリは眉をひそめた。
『ああ、空港で例の植物を搬入してるときの監視映像があったんだが、植野教授と変な男が写っていたんだよ』
「どんな男なの?」
『身長は190cm前後、ガリガリに痩せた気味悪い男だな。この野郎、ドラッグでもやっているのか、やけに顔色が悪いな』
「やっぱり、ね。他の情報は?」
『やっぱり? いや、他の情報はまだだ。 ……なあ、なにがやっぱりなんだ?』
「植野教授を前から知っていたけど、こんなことをする人じゃないのよ。なにか狂気に走るきっかけがあったんじゃないかと、思っていたの」
『そうか……取りあえず、お前の端末に、その不気味な男の写真を送っておくから、何か分かったら連絡してくれ』
そう言い残すと、清水は通話を切ったのであった。
通話を終えたジュリは、携帯電話を放り出すと、ベッドに寝転びながらパソコンを開く。
デスクトップ上にメールの通知があり、通知画面をクリックすると、そこには清水からの簡潔な情報と、写真が添付されていた。
ジュリは画像を開き、拡大する。パソコンの画面いっぱいに、不気味な男が映し出された。その男は清水が行ったように、ガリガリに痩せていて、目の下には大きなクマがある不気味な男であった。
「この男が原因……?」
ジュリは寝転びながら、画像を凝視する。ふと、窓の方から視線を感じたジュリは、一気にカーテンを引いた。
そこには、何もない青空が広がっていた。
「気のせい……?」
ジュリが目を離した瞬間、画像の男の目が、ぎょろりと動き、ジュリの動きを追う。
ジュリは、カーテンを閉めると、ベッドに寝転んだ。そして再び画像を見つめ始めたときには、男はただの画像と化していた。
ジュリは画像の男に見覚えなかったが、何か嫌な予感がするのを感じていたのであった。
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