妖精博物館

第4話 2-1

 バリバリ、ぐちゅ……

ずるり……

咀嚼音そしゃくおんが響く。


「た、たす……」


男が壁に寄りかかったままうめいた。男は服装から、警備員のようであった。



ぴちゃり……


……


ぴちゃり……



水音も響く。

薄暗闇の中、その男の周りに飛ぶ小さな、それは小さな羽のある人影。


「い、いや……だ……」


 バリバリ、ぐちゅ……

ずるり……


男にたくさんの小さな黒い影が、取り付き、蠢く。


ぴちゃ……




ぴちゃ……



目の辺りから、丸い物が床に転がる。



 バリバリ、ぐちゅ……

ずるり……




音は、止まない。



咀嚼音と男のうめき声が、いつまでも続いていた……

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