別世界線日記

濱栗饂飩

第1話 落ちた先には別世界が、、、

2050年。この世には「魔法」を持つ人間が稀に誕生するようになった。火の能力や水の能力。もはやチートとも呼べるその力は、人々に敬われた。だが、その「魔法」を持つ人間たちは、若いうちは、国の平和を守るために、1つの学校に隔離され、日々、国のためにその力を振るうのである。

これはその能力者の青年の話である。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


俺の名前は火星也。この魔術特殊支援学園の生徒である。まあ学校って言ってもこの学校には生徒が数十人しかいない。今日は友達と屋上で昼を食べた。友達とは楓と和泉のことだ。その2人と教室に帰っている途中、俺はとある事にきずいた。

「あ、やべ、財布忘れてきた」

俺が言った後に楓が言う。

「めんどくせえから俺は行かねえよ?」

「同じく。」

和泉が言う。

「お前らなー」

そんな平和な話をしながら俺は屋上に向かった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「さ、い、ふ、は、ど、こ、か、なーってあるじゃん。あれ?でも俺、こんな外っ側で食べたっけ?、、、ま、いっか!」


そんな時だった。


(助けて、、、)


何やら男とも女とも判断しにくい声が聞こえた。


「ん?助けてって聞こえたけ、、、ど、、、」


その瞬間、誰かに背中を押された感覚がした。


「え?」


強く押され、その勢いであみにもたれ掛かった。そしてそのあみが外れて宙に浮く感覚がする。

(、、、は?)

俺は屋上から外れたあみと共に落ちた。

(あれ?俺、これで終わり?)

そんなことを思いながら落ちていく。

そして周りが眩い光に包まれた。何事かと思い下を見る。

(転移型魔法陣!?)

なんでこんな所に?

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

目が覚めると、青い空、下には芝生がある。

「あれ、生きてる、、、」

何があったのか思い出す。その瞬間ハッとした。

「俺、屋上から落ちたよな、、、」

周りを見渡すと学校の校舎がある。

だが、何か違う。確かこんな綺麗じゃなかったはずだが、、、

「あれ?」

向こうにいるのは、、、

「あ、和泉じゃん。おーい和泉ー」

そう呼びかけると和泉はこっちに気がついた。

「あれ、『先生』、どうしたの?」

は?先生?何言ってんだこいつは。

「何先生ってw」

「は?あんた何言ってんだ。先生だろ」

「いやいやwなにwおふざけ?」

「は?」

「は?、、、え、、、?」

どゆこと?

いや俺はこの学校の生徒だよな?こいつのおふざけだよな?

『キーンコーンカーンコーン』

「あ、チャイムなった。先生も遅れんなよ、バイバイ」

「え、あ、うん、、、」

おかしい、和泉がチャイムをきちんと守っているだと?こいついっつも余裕で授業遅刻してる気が、、、

この世界、なんか変だぞ?

おかしな点をいくつか上げてみよう。

・俺のことを先生扱い

・校舎がやけに新しい

・和泉が授業の時間を気にしている

いやいや、どゆこと?え、これは夢かなにか?

確かに俺は屋上から落ちたってかなんで俺は生きてるの?あれ?

あ、こういうのは寝ればなおるんだっけ?

寝てみるか、、、

俺はその場で眠った。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

目が覚める。もう夕方だ。もう学校自体も終わっているだろう。

周りを見渡してみた。

うん、何も変わっていない。

これってよくある異世界転生物ってやつ?

でも和泉たちはいるし、、、

「あれ?まて、俺の能力は変わったのか?」

不安になり少し魔法を発動させてみる。

その辺の草を普通に燃やせた。

良かった。魔法は変わってないようだ。

今日はもう帰るか、、、

前にいた世界での部屋に戻ってみたが、

部屋の場所は変わってなかった。(家具の配置とかは変わってたけど)

ふと机を見てみると日記が置いてあった。俺は前にいた世界では日記なんて書いていなかった。だが、その日記にはちゃんと俺の名前が書いてある。中を見てみた。

4月10日『今日からこの特殊支援がっこうの教師になった。それと同時に時々日記を書こうと思う。クラスメイトはみんな元気でうるさいくらいだ。 特に和泉と楓と雷はよく俺に話しかけてくる。』


4月31日『和泉が夜こっそり街に抜け出して喧嘩をして帰ってきた。相手はそこまで怪我はしなかったが、学校に苦情が来て処理するのが大変だった。』


5月5日『クラスでバトルの実践をしてみた。みんな強かったが、まだ【第二の目】を発動させたことのある人はいなかった。いつか皆できるようになるかな。』


9月21日『久しぶりに日記を書く。皆に魔法の授業をした。今までで1番興味を示していて、面白かった。あと約半年、この子達の面倒を見ていくんだなぁ。』


10月4日『悪魔がとある街を襲ってきた。何とか街を救ってくれと政府からの命令が来たので戦ったが、10人いた生徒のうち、7人が死んでしまった。残るは和泉と楓と雷だけになってしまった。皆が殺された時に和泉が第二の目を発動した。時間魔法だった。俺がもっと強ければみんな死なずに住んだ。悪魔なんて相手が悪すぎる。ほんとにごめん。』



10月8日『悪魔との戦争はまだ終わらなかった。あの後また攻め込んできて、街の人たちをどんどん殺していった。何とか全員倒せたが、最後の一体を倒した時にそいつらのボスである『デスペア』と言うやつのことを話していた。どうやらやばいのが来そうだ。』



10月9日『しばらく悪魔が攻めてきた街に滞在することにした。ホテルに泊まることになり、金は国が払ってくれるとのこと。この日記は学校の寮に置いてあるが、魔法で離れていても書けるので問題は無い。日記が途切れたら、それは俺が死んだということだろう。俺が死にそうになっても生徒3人は絶対に生きて返す。』


日記はそこで終わっていた。どうやらこの世界には俺とは違うまた別の俺がいたようだ。

だがこの後戦いに破れて死ぬ、ということか、、、可哀想だが、俺は早く元の世界に戻らねば、、、でもどうして日記なんてとっておいたんだ?魔法でいちいち書かなくてもいい気がするが、、、

しばらく戻れなかった時のためにこの世界のことも調べなくては。訳の分からない言葉が結構あった。第二の目ってなんだ?ってかなんで街に悪魔やらが遅いに来てるんだ?考えれば考えるほどわからん。俺のいた世界はそんな悪魔なんて来なかった。任せられる仕事といえば、この国が攻めてきたらよろしく!みたいな感じ、なので仕事なんてほとんどない。皆普通の学生だった。(人数は数十人しかいなかったけど。)

まあ、明日図書館にでも行ってみるか。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


あの日、あの時、しっかり覚えてる。絶対に忘れてはいけない。先生が消えた日。死んでしまった日。あの人はあの時、なにを言い残したの?


続く

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る