おかえりなさい。
七瀬 京
第1話
俺はどこにでも居る平凡なサラリーマンだ。特に毎日喜びを感じることも無くだからといって悲しみや寂しさなどの感情が湧き上がってくることも無い。ただひたすら仕事に向き合うだけの日々である。残業は当たり前で家はただ睡眠をとるだけの場所と化してしまった。
今まで生きてきた中で俺はずっと他の人をひきたてるための脇役に徹していた。自分が主役になろうだなんて思ったこともないし、なりたいとも思ったことは無かった。今だってそうだ、別に出世して金持ちになりたいとか偉くなって自分のしたいことをしたいとか思ったことがない。自分が暮らしていけるだけの金が稼げていれば自分のしたいことなどないのだから出世しないで今のまま働ければそれでいいと思う。
ある月曜日、急遽取引先に営業に行かなければならないということになった。今日行くのは得意先の所らしい。正直に言えば俺は元々その取引先が苦手だった。もちろん、うちの製品はよく買ってもらっているし、一見人当たりの良さそうな方が対応してくれる。しかし、毎回のように何かある度応接室の扉の前で怒鳴られている女の人が可哀想であまり得意ではない。俺は挨拶と少し話しただけなのでよく分からないがあの人がそんなに悪いようには見えない。
そんなことを思いながら俺はクーラーの効いた会社を出て得意先に向かった。
おかえりなさい。 七瀬 京 @sb_K
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。おかえりなさい。の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます