第17話 年よりのような分別臭い6歳児

 とても困惑したことがある。

 旅行に行った先で、甥っ子Kくん6歳が、ハサミをとってくれというから、渡した。

 彼はそれでおもちゃのパッケージを開きたかったらしい。


「とれたー!」

 ここまでは普通。

「よかったねえ」

 と言うと、彼は。

「ハサミのおかげ。おかげさま、おかげさま」

 と言うのだ。

 ちょっと、その言葉は年寄り臭い。

 ハサミをかえして、とわたくしがいうと、きっちり取っ手の方をむけて渡してくる。

 マナーもできてる、思いやりもある。

 やさしい子なのである。


 が。

「おかげさま、おかげさま」

 と呟く様子は、分別臭くて心配になる。

 天の神様が、彼を守ってくださるように。

 祈らずにはいられない。

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