その涙さえ命の色 ~同題異話SR詩集~
香鳴裕人
字句の海に沈む
まるで違う呼吸の
異に異を重ね、
迷子の深海魚は灯りで
さあ、どうやって受けようか
降りそそぐ
異なる
何かを掴める海じゃない
灯りの深海魚が泳ぐべき海底は違うんだ
腹も立つじゃないか
苛立ちの
あるいはそこからもはみ出す海中で
きっと
手遊びだからとの甘えで
あるいはそこからもはみ出す深海で
いったいどこから、いつから、どのようにして
深海魚は迷子の中にいて
異なる
何かが掴める海じゃない
迷子だよ
迷子だな
書いてやれないよ
つなげてやれないな
異に異を重ね、
いっそ呑まれてしまおうか
程々の
まるでちょうどいいじゃないか
自らの
自らの
程々の
まるでちょうどいい
帰り道なんてわからない
ドライアイだな
海中なのに
何も返してやれないや
程々の
火山に飛び込むものではなく
異に異を重ね、
ここではないと駄々をこねながら
苛立ち混じりのやけっぱちだよ
その本当のことを
書いてやれないよ
違う海だと言い訳をして
どう泳ごうか
積もるに甘え、埋まるに負けて
灯りがあるばっかりにごまかせずに
本当をつなげてやれないな
書いてやれないけど
溺れることもできない
苛立ち混じりに
もう一度、
二度、三度、
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