世界の滅亡が確定した世界で、四人の少年少女が愛を見つける物語。諦念、疑義、憤怒、昇華、誰もかれもが現実を直視しているわけではなく、けれど、最後に出会った愛とともに、自分と向き合い死んでいく、美しい最期を読める作品です。主人公格である風間くんが忍者の末裔であるという点が、コミカルな要素を強めているため、重苦しさは感じません。限られた時間の中であっても、生きることがすばらしいと、読んで思わされる展開と、重厚な圧を感じられる文体は一読の価値ありです。