皆でご飯を食べます
無事にミリアさんをお風呂に入れた後、すでに時刻は夕食時となっていました。
ミリアさんは夕食に、私とウンディーネは自室に。そうなると思っていたのですが…………。
「このまま部屋に帰るのは許さん!」
とミリアさんに言われ。
『どうせ起きているんだから一緒にご飯食べようよ……!』
とウンディーネに言われ。
「えー? めんど」
「『良いから行くの!』」
「…………はい」
その結果私は二人に腕を引っ張られ、最後の方は歩く気力すらも無くなった私は二人に引き摺られる形となり、食事の行われる広場へとやって来ました。
そこにはすでにヴィエラさんとアカネさん、ディアスさんが座って待機していました。
「おお、リーフィアがここに来るなんて珍しいな」
ディアスさんはそう言って目を丸くさせています。
……ええ、私も驚いています。どうして引き摺られてまで食事をしなければならないのでしょうね。
「大方、ミリアが強引に持ってきたのだろう」
アカネさん。間違いではないです。……間違いではないのですが、物みたいな言い方はやめていただきたいです。
「……お疲れ様」
ヴィエラさん。さっき怒られたこと忘れていませんからね。
「うむ! さぁ夕食にしよう!」
それを合図に次々と料理が運ばれてきます。
かなりの量だと思うのですが、毎日このくらいの料理が作られているようです。
魔王軍の経済的に問題は無いので文句は言いませんが、これを食べられるのでしょうか。それとも残った物を使用人達が食べるのでしょうか。
……そんな疑問はすぐに解決しました。
「うむ! 今日も美味いな!」
我らが魔王のミリアさんは、料理が到着すると同時にそれをガツガツと口の中に運びます。
……この様子では、大量の料理もミリアさんだけで食い尽くされるでしょう。
「なのに、どうして変わらないのでしょうね……」
「──ん、何か言ったか?」
「…………いいえ、何でも」
そんなに食べるのに、どうしてその体は成長しないのですかね。
と言ったら怒られそうです。
「絶対に失礼なことを思っただろう」
「……いえ、そんなことありません」
「だったらこっちを見ろ。んん?」
「すいません……美味しそうな料理に目が離せなくて……」
「おお、そうかそうか。良し、特別に余が取ってやろう」
「そんな短い腕では届きませんよ」
「なんだとう!?」
──っと、本音を言うつもりは無かったのですが、やっぱり本音が出ちゃいましたか。
「だがミリア。その位置からでは流石に無理があると思うぞ?」
「ぐぬぅ……!」
アカネさんに正論を言われたミリアさんは、めちゃくちゃ悔しいと言わんばかりに顔を歪めました。
そんなに熱い視線で見つめられたら惚れちゃいます。……なんちって。
「ミリアさんが小さいのは今更でしょう」
「おまっ……!」
「まぁ、そうじゃな」
「なぬっ!」
「諦めろ」
「なんと!?」
「…………」
「せめて何か言って!」
ということで、私達はミリアさんを除いて一致団結したのでした。
「ま、そんなことはどうでも良いです。早く食べましょう」
早く食べなければ、全ての料理をミリアさんに食い尽くされてしまいます。
私は皿を持ち、腕を伸ばして自分の分を取ります。
「はい、いただきます」
私は両手を合わせ、食べ始めます。
……うん。知っていることですが、美味しいですね。
いつもは眠っている間に料理を運ばれ、起きた頃には冷めてしまいます。なので、冷めても美味しいサンドイッチをいつも食べていましたが……たまには温かい料理というのも良いですね。
「美味しいか?」
「ええ、とても……美味しいですね」
「それじゃあ毎日こうしてご飯を──」
「それは面倒なのでお断りします」
「…………あ、うん……」
美味しいのは否定しませんが、このためだけに起きるのは面倒です。
私はやはり眠ることだけが取り柄であり、性分なのですね。
まぁ? ただのニートとも言います。
……いや、ニートだって腹が減れば、ベッドから起きて家の食べ物を漁ります。
もしかして私、世間を困らしているニートよりもタチが悪いのでしょうか?
「いきなり唸ってどうしたのだ? リーフィア」
「……いえ、別に……」
ま、まぁ……まだ仕事をしている私は『ニート』ではありません。……よね?
いや待ってください? 私って仕事をしているのでしょうか? ──って、何を弱気になっているのでしょうか私は。
そう、私の仕事は睡眠。
ミリアさんの護衛…………は、ついでです。
本来の仕事が睡眠。副職はミリアさんの護衛なのです。
これを言ったら怒られますからね。
このことは私の心の内に留めておきましょう。
「……なんか、リーフィアが失礼なことを考えている気がするぞ」
「いつものことだろう」
「まぁリーフィアですから」
「はっはっはっ! 違いねぇ!」
……皆さん、酷いです。
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