ご飯を食べた後はお察しです
あんなに沢山あった料理達は、綺麗に全てなくなっていました。
ミリアさんが半分くらい食べたのが大きかったのですが、一流の料理人が作っているだけあってかなりの美味でした。
私もいつも以上に食べてしまい、少しお腹の膨れが気になってしまいました。
他の方も同じなのか、それぞれが食後の休憩をしていました。
「では、私は寝ますね」
『……あ、待って……!』
私は私なりの食後の休憩をさせていただきます。と言わんばかりにウンディーネを連れて動き出し、自室へと戻ります。
そのまま一直線にベッドへダイブする予定です。
…………予定、のはずだったのです。
「どうして付いて来たのですか?」
私は部屋の入り口で立ち止まり、後ろを振り返ります。
そこには幼女、もといミリアさんが立っていました。
「別に……途中までの道が一緒だっただけだしぃ?」
いや誤魔化し方下手くそか。
と思いました。
「いや誤魔化し方下手くそか」
『言っちゃってるよ。心の声漏れてるよ……!』
「やべっ……違いますよミリアさん。別に馬鹿だなぁとは思っていませんよ」
「やべっというのも聞こえているし、そう思っているのもバレバレだ! このっ、このっ……!」
「やめてください。胸揉まないでください」
盛りの付いた子供ですか、あなたは。
とは言いませんよ。
「盛りの付いた子供ですか、あなたは」
『言っちゃってるよ。思いっきり言っちゃってるよ……!』
「やべっ」
疲れすぎて眠気が限界に入っているのか、思っていることを素直に言うようになっていますね。
…………待ってください? 思い返せばいつも通り?
……うん。まぁ、細かいことはどうでもいいです。
「それで何の用ですか? 食後すぐに寝るのは健康に悪いですよ?」
「うぐっ」
「ビンゴですか、全く……」
私は頑丈に出来ていますが、ミリアさんは成長途中(笑)なのですから、健康的な生活には気を付けなければいけません。
「でも、今日一日は余と遊ぶって約束した」
「それはそうですが、一緒に寝ることまでは了承していま──」
「だって、約束したもん……」
泣かないでくださいよ、もう。
それではこちらが悪いことをしたみたいじゃないですか。
こんな状況を魔王軍の兵士に見られたら、また何を言われるか……。
「ああ、もう……わかりました。今日だけですからね」
「うむっ!」
ミリアさんは元気に返事して、私の部屋に入って行きました。
……ったく、ミリアさんと居ると予定が狂いっぱなしです。
『ふふっ……』
「…………どうしましたウンディーネ。何かおかしいですか?」
『ううん。リーフィアも優しいなって。そう思ったら嬉しくなっちゃって』
「私が優しい? ……それはどうでしょうね」
このまま突き放して泣き喚かれるのが面倒なだけですし、兵士に見られてまた文句を言われるのも嫌なだけです。それで優しいと言われるのは、少し違う気がするのですが……。
『リーフィアは優しいよ。自分が思っているよりもずっと、ね……』
「はぁ、そうですか」
自分では思っているよりも、ですか。
……やはり、わかりませんね。
「ほら、早く三人で寝るぞ!」
「……はいはい、今行きますよ」
ミリアさんが私のベッドちゃんをバシバシと叩き、早く来るようにと催促してきます。
あの魔王のことです。
力加減が出来ていないので、このまま待たせると壊されるでしょう。
それだけはダメだと思い、私は部屋に入ります。
「うむ! ようやくリーフィアと眠れるな」
「……と言っても、ミリアさんは明日からも仕事でしょう? ちゃんと一人で起きてくださいね」
「それは問題ない。ヴィエラが起こしに来てくれるからな!」
ドヤ顔する場面ではないような気がします。
というか、魔王なのですから一人で起きてください。
……そう言っても、ミリアさんは駄々をこねるのでしょうね。
『ふふっ、こうやって並ぶと親子みたいだね……』
ウンディーネは嬉しそうに微笑んでいます。
ミリアさんが真ん中で横になり、私とウンディーネがそれを挟むように横になっています。
……確かに、これは親子に見られてもおかしくはないですが。
「どちらかと言えば姉妹でしょう」
三人は一応女です。
しかもエルフ、魔王、聖霊と、バラバラ。
これは親子以前に姉妹と言えるのでしょうか?
まぁ、ここは異世界。
細かいことを気にしていたら負けです。
「細かいことを気にしたら負けだぞ!」
「いや、あなたが言いますか」
ミリアさんは朝早いのですから早く眠った方が良いかと思うのですが……どうにもこの状況が嬉しいのか全く眠る様子がありません。
例えるならば修学旅行に来た学生のような感じです。
眠ろうとは思っているのに、内心ワクワクして眠ることが出来ない。そんな雰囲気がミリアさんから感じられます。
ちなみに私は、修学旅行も速攻で眠りましたよ。
女子トーク? 何それ美味しいのですか?
「もう、私は寝ますからね……」
「何っ!? もう寝てしまうのか?」
「ベッドは寝るためにあるのですから、当然でしょう……ふ、ぁぁ……」
私は欠伸を一回。
目元が独りでに閉じていきます。
「ウンディー……ね。お話相手になってあげて、ぐぅ……」
そうして私は、ミリアさんを抱きながら夢の世界へと落ちて行くのでした。
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