第13話 関本賢太郎『しがみつき打法。穴埋め見事選手』

天理高校、大型内野手と期待されドラフト2位。2年目星野タイガースで71試合出場。星野は早い目から使っている。 岡田監督になった2004年には1番赤星憲広のあと、鈍足ながら2番を打ってのコンビ。ウエイティングして盗塁を助ける、正確な犠打、ライト打ちでの進塁打と、しぶとさを評価された。規定打席には届かなかったものの打率.316, 出塁率.404を記録。 岡田は関本の打法を『3割にしがみつき打法』と笑った。長く持って普通に打てばもっと長打も打てるのにという意味が込められていた。私もあれだけ大きな身体をして、勿体無いと思ったものだ。一番悩んだのは関本だと思う。何とかしてレギュラーで出たいという思いがその誘惑を断ち切り、独特のスタイルを生んだのだと思う。 私は関本を『穴埋め選手』と名付けていた。 05年は、藤本と併用で二塁手として起用されたほか、一塁手や三塁手もつとめて90試合にでた。 06年は怪我や不振が重なった今岡に代わり、2番三塁手でレギュラーに定着。規定打席不足ながら打率.301。特にシーズン後半の活躍ぶりは岡田彰布監督に「後半戦のMVP」と評され、優勝に貢献した。 07年は打率.243と低迷したが守備では二塁手としての連続守備機会無失策記録を714としてセ・リーグ記録だった立浪和義の712を更新した。華麗な守備ではなかったが堅実な守備であった。 08年移籍してきた平野恵一が二塁手の定位置を掴んだことや、今岡の復帰もあり開幕スタメンからは外れたが、今岡の不調により三塁手のレギュラーに復帰。夏場は新井貴浩の離脱もあって3番や5番のクリーンナップを打つことも多く、初めて規定打席に到達して打率.298の成績を残した。 09年は新井が三塁へ回ったため一塁手で開幕を迎え、6月にブラゼルの入団により二塁へ回るなどチームの穴を埋め、規定打席にも到達した.271 10年はブラゼルが開幕から一塁、三塁には新井固定、遊撃には鳥谷敬、二塁は平野と出る幕がなく、出場数が激減、代打での出場が主になり、代打での打率は.355を記録した。この年FA権を取得、他からの引き合いも多く、出場機会のあるチームへの道も考えられたが、タイガース残留を決意する。 11年もポジションがなく代打出場が多かったが、チームの打撃不振から交流戦中盤で平野を中堅手・関本を二塁手で使うことが多くなり、このスタメン起用以降、それまで低迷していたチームも奮起した。8月31日に新井の三塁守備の不安から、「一塁・新井、三塁・関本」のスタメンもあり、9月1日には打撃不振の新井に代わって4番でスタメン出場。これにより一軍で1~9番の全打順を経験した。 この頃までがレギュラーで頑張れた時期であとは。しぶとい代打としてチームにはなくてはならない存在として活躍した。 いつも格上の競争相手と競いながら、故障の代役、配置換えの穴埋め、出番がないときは代打、守備固めと常にチームの弱いところを埋めて頑張って来た選手であった。「穴埋め選手」、チームはスター選手だけでは持たない。私は栄誉ある名前だと思っている。誰かでてこないか!大和、個性は違うが、そんな存在となってほしい。君に欠けているもの『必死のパッチ』。

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