笑いましょう

問題。ドイツの哲学者、フリードリヒ・ニーチェが「〇〇とは、地球上で一番苦しんでいる動物が発明したものである」と言い、楽しさや嬉しさ、おかしさなどを表現する感情表出行動の一つの、〇〇とはなんでしょうか?


















 答えは、「笑い」です。

 笑いは、すべての人々に元気をもたらしてくれます。


 チンパンジーなどの霊長類は声を出して笑います。とくにゴリラやオランウータンは、子どものときに遊びの場面で笑うことが多いです。また、ネズミをくすぐると笑うことが分かったそうです。犬も猫も笑うことがあるかもしれません。

 一説に笑いは、権力闘争やヒエラルキーの中で、勝ち負けをはっきりさせるための手段だったらしく、自分以外の誰かが失敗したり不幸な状況に陥ったとき、勝者が敗者を笑って優越に浸るのが、笑う理由だったみたいです。

 聖書では嘲りや蔑み、からかいというニュアンスで捉えられており、一八世紀ごろまで「笑い」は、ネガティブな印象でした。



 現在、私たちが笑うときは、シーンや感情によって自然に使い分けをしているが、分類は難しいです。

 大雑把に分けると、四つに分類できます。


【社交上の笑い】

 協調や敵意はないとアピールするときなど。

【快さの笑い】

 勝利やごちそうを食べたときなど、期待が充足したとき。

【緊張緩和の笑い】

 想像と違う良い結果だったときに精神的、身体的、緊張緩和するもの。

【作り笑い】

 強がりや他人をいのままに操るときなど。

  

 


 笑うことによって、身体ではどのようなことが起きるのか。

一、脳が刺激され、それが神経へ伝わる。

二、神経ペプチドという免疫機能活性ホルモンが分泌。

三、神経ペプチドと結びつき、白血球の一つであるリンパ球でがん細胞や細菌に感染した細胞を死滅させ、がん細胞の殺し屋として有名なナチュラルキラー細胞が活性化される。

四、モルヒネの数倍もの鎮痛作用と快感作用のあるベータエンドルフィンなどのホルモンも大量分泌。

 笑うことによって身体が活性化され、免疫力が向上し、自己治癒力の高まると思われます。




 笑いの効能について。

 第一に、脳の働きを活発にします。

 笑いは意思や理性を司る大脳新皮質の血流を促し、脳を活性化します。アルファ波が増え脳はリラックス状態となり、さらに海馬の容量も増やすので記憶力もアップします。


 第二に、血行を促進します。

  笑うときは腹式呼吸のような状態になるため、血の巡りが良くなり新陳代謝が活発になります。


 第三に、自律神経のバランスを整えます。

 目覚めている時は交感神経が優位となっていますが、笑うことで副交感神経が優位となり、その働きが交互に入れ替わることで自律神経のバランスが保たれます。


 第四に、ストレス発散に有効です。

 笑いはドーパミン、アドレナリン、コルチゾールなどの快楽に関係するホルモン分泌を促し、ストレス解消に役立ちます。


 第五に、幸福感と鎮静作用があります。

 幸せの脳内ホルモン「エンドルフィン」が分泌され、幸福感がもたらされます。その鎮静作用はモルヒネの数倍ともいわれます。

 

 第六に、免疫力を高め、病気のリスクを遠ざけます。

 笑うと善玉神経ペプチドが発生し、NK細胞(体に悪影響を及ぼす物質を退治する細胞)を活性化します。笑いが、ガンやウイルスに対する抵抗力を高めることは科学的に証明されているのです。


 第七に、印象が良くなります。

 アメリカ・ペンシルベニア州立大学の研究によると、「笑顔」は親切に見えるだけでなく能力がある人に見せる効果があるそうです。


 また、作り笑顔でも同じように身体が活性化され、ナチュラルキラー細胞の働きが活発になるそうです。



 ただ、笑顔を作るには顔の筋肉を動かさなければなりません。

 赤ん坊は全身をつかって泣くことで、手足はもちろんお腹に力が入り、顔や身体の筋肉を作っていきます。

 たくさん息を吸って大きな声を出して泣くので、横隔膜も鍛えられます。

 幼児の笑顔は、トレーニングの賜物なのです。

 久しく笑っていない人は顔の表情筋も衰え、硬い表情、顔がこわばってみえます。

 そんな状態から笑おうとすると、うまく筋肉が動かせず、ぎこちない顔になってしまうでしょう。

 なので、日頃から笑顔のトレーニングが必要となります。

 

■こっそり割り箸を使ってエクササイズ。

 自分の部屋で、鏡を前にしてしましょう。

・横にした割り箸を前歯でくわえます。

・口角が割り箸のラインよりも上になるよう、「いー」っと言いながら十秒キープ、三回くり返しましょう!

 慣れてきたら、キープ時間を一分間に伸ばしましょう。


■どこでもできる簡単な笑顔体操第一。

・口角を上げては元に戻すという表情筋運動を、一分間くり返します。

 口角というのは、口の両端のところです。

・頬の筋肉をもち上げて目が細くなる状態から元に戻す表情筋運動を、一分間くり返します。


■一人でこっそり口角上げ笑顔体操第二。

 自分の部屋か、入浴中など、誰にも見られない場所がいいでしょう。

・口を閉じて口角を上げたまま、頬の筋肉を二十回上下させます。

・口を開いて歯をみせながら口角を上げ、頬の筋肉を二十回上下させます。

・歯を見せて笑い、顔のすべてのパーツを上に上げて三秒キープしたら脱力します。これを十回くり返します。


■場所をえらぼう表情筋の笑顔体操第三。

 自分の部屋、入浴中など、誰にも見られない場所がいいでしょう。

・顔の中心に目や鼻、口などのパーツをギュッと集めて五秒キープします。

・寄せ集めたパーツをできるだけ顔の外側へと広げて五秒キープします。

・顔のすべてのパーツを右上、左上、右下、左下にそれぞれに寄せて五秒ずつキープします。

・顔のすべてのパーツをかき混ぜるように、上下左右、ぐにゃぐにゃ大きく動かします。

・胸を張ってきちんと座り、顎を前に出して下唇を突き出します。

・そのまま首を後ろに倒し、天井を見ながら顎をさらに突き出し、頬の筋肉を引き上げて笑顔をつくります。

・顎と下唇、首も元に戻し、一連の動作をくり返します。

 

■誰もいないところで叫べ、笑顔体操第四。

 堤防や屋上、一人カラオケなど、誰もいない所が良いでしょう。

・大きな口を開け、「あいうえお」と発声します。

・次に「あー」「いー」「うー」「えー」「おー」と、しっかり口を開けて一音ずつ、わざと大げさな表情をつけながらゆっくり発声し、五回くり返します。

 ドンキー、ターキー、クッキー、ウイスキーなどなど、言葉一音ずつ、しっかり口を開けてゆっくり発声しましょう。

 

■どこでもできる呼吸法。

・背筋を伸ばして椅子に座り、目を閉じてリラックスします。

・口を細く伸ばして、「フーッ」とできるだけ長くゆっくり息を吐き切ります。

・息を吐き切ったら、鼻からお腹に酸素を入れるイメージで三秒くらい息を吸い、三秒息を止めます。

・吸ったときの倍の長さでゆっくり吐きます。


 準備ができたら、実践していきましょう。

「おはようございます」や「ありがとう」、「さようなら」や「またね」といった挨拶するときに笑顔をセットにしていきましょう。

 また、テレビを見て笑う練習や、トイレで一人こっそり笑うトレーニングもいいかもしれません。

 電話するときも、笑顔を心がけてみてください。

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