脳に栄養を与えましょう・その9

問題。石灰を意味するカルクシスから由来し、必須ミネラルであり、原子番号20番の元素はなんでしょうか?


















 答えは、「カルシウム」です。

 カルシウムの九十九パーセントは骨や歯の中にあり、残りの一パーセントは血液やリンパ液などの体液の中に存在し、骨歯の形成だけでなく、生命維持に重要な働きを司ることがよく知られています。

 神経の興奮や緊張を緩和してイライラや苛立ちを抑える他にも、以下の働きがあります。

 筋肉を収縮させて心臓を規則正しく活動させる。

 丈夫な骨や歯を作り健康を維持する。

 ホルモン分泌の調整。

 免疫力を高める。

 血液を固めて出血を防ぐ。

 体液、血液の恒常性を維持。

 細胞の分裂、分化を促すなどの働きがあります。


 カルシウム不足が慢性的につづくと、骨のカルシウムが失われるので、骨質が薄弱となって肩こりや腰痛が見られるようになります。

 結果、骨がスカスカの状態になってしまいます。

 また、成長期では歯の質が悪くなり、あごの骨の発育に影響を与えます。


 血中のカルシウムが不足すると、副甲状腺ホルモンやビタミンDが働いて、骨からカルシウムを放出され血液中のカルシウム濃度を一定に保ってくれます。

 骨はカルシウムの貯蔵庫であり、摂取量が少なければ減り、多ければ蓄積されるのです。

 また、ビタミンDが不足すると充分なカルシウムを吸収できなくなります。


 口から摂るカルシウムが不足すると、骨からカルシウムが溶け出し、血管や脳のような本来入ってはいけない組織の中に入り込み、それが沈着することによって、さまざまな病気の引き金になってしまう「カルシウムのパラドック」が起きる原因となります。

 カルシウムのパラドックス現象は、動脈硬化や心筋梗塞、高血圧などの生活習慣病や骨粗鬆症、認知症などの引き金にもなっています。


 かといって、カルシウムを取りすぎると、主に循環器系の健康を守る必須ミネラルのマグネシウムの吸収を阻害することが明らかになっています。

 マグネシウムが不足すると、体の中で化学反応が円滑に行われなくなり、疲れやすい、何となくだるい、イライラするなどの症状を現わします。


 健康障害を防ぐ観点から、「カルシウム2に対してマグネシウム1」という比率で摂取することが理想的といわれます。



 補足として、ビタミンKは骨にカルシウムを沈着させるために必要なオステオカルシン(たんぱく質の一種)を活性化したり、カルシウムが尿中に排泄されるのを抑え、骨の破壊を防ぎます。

 怪我による出血、炎症による内出血時に血液を固める作用はよく知られています。


 ビタミンKには多種類ありますが、天然のものはビタミンK1(フィロキノン)とビタミンK2(メナキノン類)の2種類のみです。

 ビタミンK1は植物の葉緑体で生産され、ビタミンK2は微生物から生産されます。



 カルシウムは、魚介類、海藻類、乳製品、大豆製品、野菜類、ごま、アーモンドなどに多く含まれます。

 ビタミンDは、魚介類、肉類、乳製品、たまご、しいたけ、きくらげに多く含まれます。また、日光にあたると体内で作られます。冬は、日照時間が少なくなるので、食事で取るように心がけましょう。

 マグネシウムは、アーモンドをはじめとする種実類 ごま、魚介類、藻類、野菜類、豆類などに多く含まれています。

 ビタミンK1は、緑茶、海藻、しそやモロヘイヤなどの緑黄色野菜に多く含まれています。

 ビタミンK2は、発酵食品の納豆に特に多く含まれます。

 そのため、納豆を日常的に食べている人は、食べていない人と比べてビタミンKの摂取量が約2倍といわれています。

 他には、肉類、乳製品、鶏卵などにも含まれています。

 脂溶性なので、油と一緒にとると吸収率が上がります。

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