第27話

「じゃあ、用があるからこれで」

「分かりました」


私はそう言って研究所の方へ向かう

それと同時に結界が張られる

強大な結界だが中から見ても結界が張られているかいまいち分からないが確かに魔力が流れている

国民は魔族が倒されたことを確認すると何事もなかったかのように戻っていく


「結構時間かかった」


私は少し急いで向かう為走る

屋根を伝って移動し研究所に向かう

研究所に着き中に入る


「研究長、ムクロは部屋にいるぞ」

「分かった」


部屋に向かって扉を叩く


「どうぞ」

「失礼するぞ」

「解体は済んだんですか?」

「終わったよ。魔族と少し戦って遅れた。ここに置くよ」


鱗、骨、龍玉を取り出して地面に置く


「取り敢えず武器に使えるって奴を貰ってあとはギルドに引き取って貰ったけどそれで良かった?」

「はい、大丈夫です。それより一つ一つのこの大きさは異常ですね。これで専用銃を作るんですよね? 丁度鉱石はありますし今から取り掛かります」


ムクロは部屋の奥から鉱石を取り出して地面に置く


「手伝うよ。メインでは出来ないけど手伝いくらいは出来ますから、作ってもらうのは自分用の武器だしね」

「分かりました。では手伝って貰います。その間狭いですがこの部屋を自由に使って構いません」

「それなら使わせて貰うよ」


開発を手伝うと言っても殆ど雑用でメインは完全にムクロである

私の役目は雑用と話し相手、ムクロの護衛である

まだ他国や貴族に気付かれていないとはいえ誰かしらが情報屋を通して情報を得る可能性もある

ましてやここにいるのは皆、金の為に動いていた人々、少なくとも情報屋は居るだろう

ムクロの情報は少なく価値がないとされていたがこの才を知れば方法を問わずに手に入れたがるだろう

強い力を持つとはいえそれでも戦闘経験が浅い為軍人などには勝てない可能性もある

少なくとも銃の製造が終わるまでは死守しなければならない

出来るだけ自分で守りたいがこちらもずっと側にいることは出来ない


「それって加工はできるの?」

「かなり難しいですが出来ないわけではありません。ただ加工だけでもかなり時間を使います」


集中しているようなので静かに待機する

戦えるのは私だけではない為魔族や他の進撃も大体は食い止めれる

問題さえ起きなければすぐに鎮圧できる程の戦力がこの国には揃っている

古き英雄リア、七裁王第三席クロル、この国の治安を守ってるギルド長シア、龍人のクイナ、各騎士団長6人、そう簡単に攻め落とせる面子ではない

それと先ほどの親子と言いここには強い者たちが集まっている


……この護衛も可能性がわずかにあるからってだけだし今は結界もある。相当な事がなければ攻め込まないだろう


銃製造時間 一週間かかり銃本体が完成する

その間、ムクロは休みなく働いていた

途中途中私が無理やり休み時間を与えて体調を崩さないように注意していた


「終わりました。後は使えるかどうかの練習だけです」

「早いね、銃を一週間で完成なんて」

「普通はどれくらいなんですか?」

「詳しくは分からないけど1から作るとなるとかなりの時間を有すると思うけど」


銃を受け取り的を狙いトリガーを引く

魔力が銃にチャージされ魔力弾が放たれる

威力はかなり高く壁に穴が開く


「壁に穴が開いた……」

「魔力を操作すれば強さが変わります。それだけでなくバーストとフルオートとセミオート?を付けました」

「あっ、これか」


銃の持ち手の上に3つ小さく書き込まれていた

指で触れると魔力を通じて銃の中が動く音がした

一回トリガーを引くと3発飛んでいき別のところを触れると連続して何発も発射される


「おお、これだよ」

「銃の外形はオリジナルにしてあります。機能性を重視した形です」

「たしかに普通のは形が違う」

「今の技術だとここまでですがある程度進めば改良を加えることができます。では他にやる事あるので」


ムクロはそう言ってほかの武器の研究を始める

部屋を出てジギルを探す

近くをうろついていた少年に聞く


「なぁ、ジギルどこ?」

「ジギルさんは今あっちにいますよ。ポーションの研究がどうのこうのって」

「そう、有難う」


少年が指を差した方に向かう

そこには扉がありここでポーションの研究をしているらしい

ノックする


「入っていいぞ」


中から声がして扉を開ける

さまざまな色の薬品が並べられ様々な匂いが混ざり合っている

中ではジギルと数人の仲間がポーション研究をしていた


「進行はどう?」

「まだ不味い。新作飲むか? まだ飲んではいないが多少飲める味にはなっていると思う」

「何を調合した?」

「何処にでも生えているような薬草があるんだがそれを混ぜた。その薬草は出血を抑えることができるがポーションには混ぜてなかったんでな」


試験管に入った青色の薬を貰い一気に飲む

あの緑色よりは飲みやすい色をしており味もそこまで不味くはないが効果が下がったように思える


「不味くはないけどこれは……」

「恐らく薬草を入れたから効果が下がったようだな。量産するには高級な薬草などは使えないし……効果を下げるも意味は無いしな」

「そうだね、効果を保ちつつ美味しくは難しそう。元となるもので不味い原因は?」


……味に関してはある程度を保てればいいけどあの味に戻るのはなぁ〜


「オウソク草って言うのが不味いな。だがあれに代わるものを見つけるのは難しい。回復効果に関してはあれが量産しやすい薬草だ」

「ねぇ、作れる薬草はある?」

「効果が落ちるがあるぞ。あれを混ぜるなら他の薬草を上手い具合に増やさないといけない」

「そう、こう言ったのに関してはいまいち分からないんだよねぇ。研究を頑張ってね」


そう言い残して私は部屋を出る

壁に寄りかかり次何をしようか考える

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