第20話
昔話をしながら小屋に入る
「失礼するぞ? ムクロ」
「……うん? あぁ、研究長、それと魔族が1人……この力は呪いである、大罪の一つとして我が力になり……」
透明化しているクロルを視認して詠唱を始める
「待て待て待て、私の話を聞けムクロ」
「……? 魔族を殺そうとしてるだけだけど」
「それを待てと言っているんじゃ」
クロルは透明化を解き魔法の準備をする
戦闘にいつでも入れるようにしている
私は間に入り両方を止める
「噂の大罪使いですか。まさか貧困層に住んでいる少女が持っているなんて思いませんでしたよ」
「大罪使い?」
私は聞き覚えのない言葉を聞き首を傾げる
「はい、主に七つの大罪を扱う特殊魔法の事で人族以外は使えないという魔法です。例え吸血を使っても不可能です」
「強いのか?」
「はい、強いですよ。しかし、特殊魔法の使い手は死ぬまでその力の代償を背負わなければなりません。それでも最高クラスの実力を持ちますが」
……吸血鬼って実は弱い?
「代償が厄介、代償に関しては未だに払えていないから力も出せて1割程度」
「代償って何?」
「…………」
私が聞くとムクロは沈黙する
「簡単ですよ。これに関しては貴女でも手を貸せます」
「駄目! 自分が何を言っているか分かってる?」
「はい、それでもシャルがやった方が良いと考えております。シャルなら出来ます」
「言って、力になれるか分からないけど」
「……分かった。こっち来て」
私はムクロに言われた通り近付く
耳元で小さな声で代償について言われる
「……成る程ね、分かったよ。協力しよう」
「えっ……良いの?」
「私は吸血鬼だ、安心したまえ」
「……この力は呪いである、大罪の一つとして我が力になり万物を喰らえ 暴食」
突如黒い何かがムクロの後ろに現れ私の腕を食らう
一瞬の出来事で理解が出来なかったがムクロの表情から察する
腕が再生してすぐに元に戻る
「ごめんなさい」
「ぐっ、いや、構わない」
「もう一度先に謝ります、ごめんなさい」
ムクロは軽くキスをする
大罪のうち二つを特定人物に使う事で代償を満たすことが出来る
必ずその者に二つ使わないと行けない為下手にその力を使えば命を奪いかねない
その中でも色欲は楽なの方なのだが暴食がその者の肉体を食らうなので難しい
他の力でもいいがそれも中々に厄介
「これで大丈夫です」
「そ、そう」
私は動揺する
色欲の能力の一つ、異性同性、種族関係なく対象を魅了する
能力のせいか理性を保つのがやっとである
……これが色欲の力……ううきつい
深呼吸をして冷静さを取り戻す
「それより研究はどうなのですか?」
「そうだ、それを聞きに来たんじゃよ」
「まだ試作段階で形は出来てる。後は素材を集めたい」
銃の形状こそしているがまだ弾を撃てないようだ
「資源が余りありませんからどこかの資源を独占しましょう」
「そうだね。多い方がいいから早めに独占権得よう。じゃあねムクロ」
小屋から出て街に向かう
集まっていた国民は皆帰っているようだ
「クロル、王の警護頼むよ」
「分かりました。シャルは何処へ?」
「少し欲しい素材を手に入れてくる。早ければ数日、遅ければ1ヶ月かかる」
「ご武運を、私を呼んでくれればいつでも駆けつけます」
「ありがとう」
クロルと別れギルドに向かう
シアはまだ目覚めていないため受付に行く
「依頼ですか?」
「いや、ガルガロラスの生息地について知りたい」
受付に行きシアから聞いていたガルガロラスの生息地について聞く
自分用の銃を作るにしても素材が無いといけないので調達をしようと試みる
「ガルガロラスですか。生息地は城門を出て森を超え一つ山を越えた先にあるグラングレスの洞窟に居ます。階層は一つでほぼ一本道ですが数キロありその奥に生息しております」
「成る程ね、そこは分かりやすい?」
「はい、気温がいきなり高くなるので分かりやすいかと」
「分かった。じゃあそこに向かうかのぉ」
「おい待て」
「何かな」
「有り金よこせ」
「はぁ?」
突然の発言に驚きを隠せない
「今やこの国のギルドは俺たちの支配下だ」
「あっそ」
「たとえお前でも下手に行動をとればどうなるかくらい分かるよな?」
ため息をつきギルドを出る
邪魔をしてくる者も居たが手刀で斬り伏せる
「邪魔、うざい。先にすればいいさ。シアが目覚めるその時までね」
睨みつけてさっさと街の外へ向かう
翼を生やして空を飛び目的地に向かう
しばらく飛んでいると遠くに何処かの国の軍が歩いていた
気になり近くに降りて岩陰に隠れる
数は数千を超え何処かへ進行しているように見える
……一体どの国が動いている?
隊長クラスの1人が馬に乗っている
貴族なのだろうか高価そうな鎧や兜を身につけている
旗に書かれている絵を確認してその場を離れる
見ていても情報は手に入らなそうに感じたのでバレないように移動をする
……情報は得られないかのぉ〜、見た限り人族ではあるな
「進め! 我が国の敵はこの先に居る」
どんどん進んでいく
その先には国が一つあることが確認できた
……戦争か
巻き込まれないように飛んで上から様子を伺う
助けて恩を売るも良いが下手に国々の中を悪くはしたくないが少しだけ足止めをする
近くの崖に魔法を当てて土砂崩れを起こす
兵が下敷きにならないように距離がある状態で起こして足止めをする
「これで良いかのぉ」
目的地まで進む
どんどん近づくごとに気温が上がっていく
……25℃くらいが今は30℃程度になっておるなぁ
暑くなりフードを外す
リアから得た風魔法で風を纏う
……涼しい
飛ぶのをやめて降りる
気温が上がり山の生態系も進むごとに変わっていき高温に耐えられるように成長した魔物がちらほら見える
飛ぶのをやめた理由としては温度に身体を慣らさなければ戦うことすら困難だろう
木々をなぎ払い熊の魔物が現れる
雷魔法を体に纏い回避する
エルドーダの所にいた熊とは種類が違うようで図体があの熊に比べてかなり大きい
「……ふぅ、風魔法を使っているとはいえ暑い」
暑さで汗が流れる
汗が目に入り思わず目をつぶってしまう
咄嗟に攻撃を避けるが引っ掻きで服が斬られる
服は修復能力によって治っていく
雷魔法を拳に纏わせてぶん殴る
「雷魔法 雷神の双腕」
熊の魔物は勢いよく吹き飛ばされる
素早く接近して吹き飛ばされている熊を地面に叩きつける
「闇魔法 断罪の魔弾」
魔法弾を作り撃ち込む
風穴が開き熊は絶命する
……暑い、休みたいけどこのままだときつい
仕方なくある程度気温が低い所まで行き野宿の準備をする
熊の魔物を解体して火を起こして肉を焼き食べれそうな草を取り気をつけてゆっくりと食べる
知識がないため勘で行き腹を下す
「うぅ、ミスった」
さっさとやる事済ませて寝転がる
……肉は美味しかったけど草がダメだった
唸り声を上げる
火を恐れているのか魔物たちは近づかない
ちらほら見えるが近寄ってこないため無視をする
「……慣らすのに数週間使いそう」
体力を回復させるために早めに眠りにつく
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます