第2話

「迷った」


1時間ほど歩いていると森の中で迷子になってしまった


……地図に書いてある通りに行ったはずなんだけど? 早くのんびりと暮らしたいから小屋を見つけないと


「……また悲鳴」


結構な距離がある場所から声が微かに聞こえそれが悲鳴だと感じ声の方向に向かう

迷子になっていたので人に聞けばある程度の場所は分かるかと思ったのと恩はあっておいても損はないからである

走り探すが見つからない


……おかしいな、この辺の筈なのに


木に登り木の上から周りを見渡して漸く見つける

ゴブリン20体とオーク5体が冒険者の女性グループを襲っていた

2人は倒れ装備を剥がされていたがまだ服までは取られていなかった

魔法使いの少女が攻撃して頑張るが盾を持ったゴブリンに攻撃を防がれる


……間に合ったようだけど、オーク相手か。どうするかな……確か血の操作は


吸血鬼の牙で指を噛み血を流す

多少の痛みを伴うが特に気にせずに行動に移す

木に血を垂らす

血は木に吸収され血操作によって一本の木は私の支配下に置かれた


「血操作、物体支配」


木を操り冒険者たちを救出して木の上に移動させる

突然のことで驚き暴れていたが抵抗する力はそんなに残っていなかったらしく途中で大人しくなる


……中々難しいなぁ


「無事かな?」

「君は?」

「シャルレーダ、シャルと呼んでくれれば良いよ。それより君達は何故ここに?」

「依頼の為に来て終えて帰ろうとした時に奴らに出会ってこんな状況に」


オークが大剣を振るい乗っている木を攻撃する


「チッ、めんどくさい」


木を操りオークの一体の胴体を大量の枝で打ち貫き枝を振り回し攻撃する

ゴブリンはやれたがオークにはすぐに対応された


……知能が高いのかな? 今日は血を使い過ぎたなぁ〜、あとどれくらいで貧血になるか分からないから下手には使えないなぁ。魔法が使えない今これしか出来ない


「ブラッドバレット」


弾の形状に作り上げた血をオーク目掛けて撃つ

銃弾程ではないがかなりの速度で血の弾はオークの頭を撃ち抜く

残ったオークは木の裏に隠れる


……チッ、木を貫通しても致命傷まで持っていけなそう


「血線」


しっかりと見ないと気付かない程に細く伸ばして木を使って罠を設置する

オークは木の裏から出て来ない


「貴女吸血鬼!?」

「そうだよ。それがどうしたのかな?」


……血が足りない、使った血を戻せないかな?


血を出来る限り節約して使っているがそれでも罠を設置するにはかなりの量を使う

ブラッドバレットで使った血やゴブリンなどの血を使いなんとか設置する


「何か出来ることはある?」

「……特にないかな……いや、火を起こしてくれないかな?」

「血を燃やすの?」

「出来るのかわからないけど血の糸を伝ってオークを燃やす」


魔法使いの少女が血の糸に引火させ糸を燃やす

設置した範囲を燃やしオークも焼かれているのが確認出来た


……よし、出来たけど血がごっそり減った。別のやり方を取ればよかった


「ねぇ、この辺にある小屋知らない?」

「小屋? あるよ。そっちに見える」


少女が指差した方に一個の小屋があった


「ありがとう」


感謝を言って木を操作して移動する

小屋は中々綺麗で軽く掃除すればすぐに住めそうな感じである


「……掃除は後でいいや。寝よう」


小屋の隅に座り体操座りで眠りにつく


約1日経ち目を覚ます

小屋の中は眠りについた時とほぼ変わらず外も特に魔物が近くにいるなどはなかった


……もう一度寝よう。街の方に行くようが特にない、いや警戒はしておくかな


「血操作、鳥」


小屋から一度出て血を飛ばし近くにいた鳥の体内に流して操作する

基本は自由に小屋周辺を飛び回ってもらい問題が発生した場合に操作して詳しい事を鳥を通じて確認する


……支配しているからと言っても必要な働きを勝手にしてくれるから操作はそこまでいらないかな


小屋に戻って血を地面に垂らして地図を作り上げる

鳥からの情報を利用して状況を分かりやすくする為の物で約1キロ範囲まで事細かく記せる


……後は防衛用に罠を設置しようかな……まだ良いか


状況を一度確認してから再び眠りにつく

数時間後に目覚めて寝起きの状態で確認する

特に目立った変化は見られなかったので街の方へ向かう

1キロ範囲に森の外があった為、その地図の示す場所に行けば国に着く

国は森の近くにあるため森を抜けるとすぐに見える

国には城壁があったが昨日は特に問題なく通れていた


「魔法について誰かに教わりたいなぁ、他の吸血鬼ともし戦う事があればこのままでは負ける」


魔法について分からないがギルド長ならばいろんなことを知っていそうだと考えギルド長に会いにギルドへ向かう

城壁は門番が見ていない一瞬の隙に駆け抜けて街に侵入する


……門番ちょろい、もう少ししっかりとした方がいいような


記憶を頼りにギルドに向かうとギルド長をすぐに発見したが今は会話中のようで邪魔をしてはいけないと思い掲示板の方へ向かう

色々な依頼がありそれぞれ『危険度』『報酬』『ランク制限』などが書かれていた

ゴブリンはFランクモンスターでオークがDランクモンスターと書いてあった


……ほうほう、分からん。ランクがどれくらいの危険度かいまいち分からない、吸血鬼はランク何かな?


吸血鬼のランクが気になり探すが吸血鬼について書かれている物は一つもなかった


「ないか、出来れば吸血鬼の情報は欲しいのに当てがない」

「あれ?……えっと吸血鬼様?なぜここに居るのですか?」


転生して最初に助けたパーティのシスターが話しかけてくる


……服変えてるのによくわかったね。小型だから? ……なんか気に入らないけども別に良いか


「シャルと呼んでくれれば良い。そうだシスターさん? 吸血鬼について詳しく教えてくれないかな?」

「私の名前はシエル・ロードロットです。吸血鬼についてですね、分かりました知っている限りお教えします」


シエルに案内され待機用の机を挟んで椅子に座る


「どこからお教えすれば?」


……これは最初から頼んだ方がいいな


情報を欲しい今知っている情報が合っているか確認する為最初から聞く事にした


「最初から、自分の知識と比べてみたい」

「ではまず、吸血鬼とは血を吸い血を操る人の姿をした存在ですが吸血鬼は人離れした身体能力を持ち現在不老不死と言われているほど殺す手段がないとされています。1時的な封印なら可能です」

「成る程、他は?」

「他には……吸血鬼には特殊な力があると聞きます。血を操る以外に一つそれぞれスキルと呼ばれる力を持っています。どう言うの物かと言うのは分からないです」


……スキル? 気になるなぁ。知る方法は同じ吸血鬼しか居なそうだけど


「ほうほう、魔法は?」

「使えますよ。人それぞれ魔力の色が違うので検査して見ないと」

「君は光系か?」


試しにシエルを見て魔力の色を聞いてみる


「はい、よく分かりましたね」

「成る程、分かった。なら予測しておこう、私の魔力は黒色かな?」


手を見て色を予測する


「……それは闇魔法です。早く検査して確認しないと!」


シエルは思わず机を叩く

周りの冒険者が驚きこちらに視線が集まる


「落ち着きなさい、闇魔法だと何かあるのかい? 光も中々だと思うけど」

「私のは神聖魔法と言って補助や回復を専門とする魔法です。光魔法とはまた別で……闇魔法は影や闇を操ることが出来る物で闇魔法は今まで数人しかいなかったらしいです」

「へぇ、ところで検査方法は?」

「ギルドにある魔色見鏡を使うんですがギルド長の許可が下りないと使えないんです」


……貴重なんだねぇ〜


ギルド長が座っていた場所を見るともうそこにはギルド長はおらず別の人が座っていた

周りを見渡すがギルド長はいない


「どこ行ったんだろう? 受付の人に聞いてみようかな」

「私が聞いてきます」


シエルは立ち上がり受付の女性に話をしに行く

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