人間を卒業する最後の走馬灯

maitreyadasa

第1話 大衆の中に戻ってきた

俺は一生懸命生きてきたつもりだった。


しかし、結局、何も最初と変わってなかった。


人間は変わらない。


ちんこやまんこつけた獣に過ぎない。


今はリラックスが深まって、全体との境界線が消えた。


私は一匹の野良猫のような自然の存在。


もうだめだ。もう限界だ。


私は一生懸命に行き過ぎた。


エゴは私にとって重荷でしかない。


三位一体なんて嘘っぱちだ。


神はひとつしかない。


今日、教会で、頭に浮かんできたのは、マイトレーヤの、神はひとつということの説明だった。


「あなたが知恵を求めれば、神々には行き着くだろう。しかし、それは真実ではない。」


頭頂のチャクラで、シヴァはうめく。


キリスト教徒は、ヤハウェを、イスラム教徒は、アッラーを、仏教徒は、大日如来を信仰する。


信仰は星のかずほどあるが、自在するのはブラフマンのみ。


むき出しとなった欲動の傷が、私を苛む。


もう十分に生きたんだ。


剣を持つ力も残っていない。


空手で、空っぽの両手で、みんなの中に戻ってきた。


地に足をつけて、ありのままを見据えることができる。


全てを知ってるってのはこういうことなんだ。


全知とは威厳である。


威厳とは、力、徳である。


好き嫌いなんてどうでもいい。


好き嫌い、味覚を乗り越えてきた。


風である味覚に支配されるのではなく、それを支配した。


礼法によって風を支配するにいたった。


孔子が知っていた古代から知っていた礼法だ。


人間の心を動かす、敬愛をマスターした。


ずいぶん真実を探し、捕まえ、手放して、結局、元の場所へ帰ってきてしまった。


空手で。


もうちょっとしたら、猥褻電磁記録の裁判があるっぽい。


憂鬱なんてのは臆病な利己主義者のものだ。


エネルギーに満ちて生きるとき、そのエネルギーが道を自然に開く。


ああ、帰ってきたよ。故郷でみんなと楽しもうじゃないか。


どうやってたのしもうかかな。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る