見知らぬ感情──細川夜
高校に入ってからはなるべく他人に深く関わらないように心がけていた。この特殊な力のせいでもあるが、なにより自分が相手のペースに合わせないといけないことが面倒で仕方がなかった。それに他人の考えていることはわからない。
中学生の時まではみんな特に裏表もなく仲良く遊んでいた。その頃はクラスの大半が小学校から繰り上がりで来ている人で、みんなに無理やり合わせる必要もなかった。合わせるのが面倒になったらいつも固定の友達と遊べばいい。でも高校に入ってからは、色んな中学校から人がやってきて初めて見る顔ばかりだ。何もかもが初めてのクラスの中で浮かないようにするのが当たり前だった。そのためにみんな無理やり周りの人に合わせて行動する。みんなの前では、仲良さそうに喋っている人でもみんなが居なくなれば影でその人の悪口を言うことだってある。そうなるくらいならいっその事、人と深く関わらない方が良いと思ってしまった。
それなのに、赤井さんのメールアドレスを貰ってしまった。
何故アドレスを交換しようなんて言ったのだろう。赤井さんが僕の能力について知っているからだろうか。人と関わることが好きではないはずなのに、赤井さんとアドレスを交換したことを後悔しているわけでもない。
今までに味わったことのない感情に、いくら考えても答えは見つからなかった。
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