しろくろーず団!

葉月林檎

第1話 1日目~朝~

【いちご目線】                             


「あ~暑い…」

「しょうがないよ…夏だし」

「今日の気温は…38度⁉とけるよ~」


それらの言葉につられて私も言う。


「何で夏休みに、のび~教室なんてあるの~?」


のび~教室とは『夏休みの宿題を学校でしよう!』という、何とも言い難い企画だ。しと、きりん、ゆずしお、そして私いちごは『しろくろーず団』として、いつも一緒に行動している。

あ、性別?しと、きりんが男の子で、ゆずしお、私が女の子だよ。

…念のため言っておくけど、カップルとかいうヤツではないからね⁉

私の辞書に、『リア充』という文字はないのデスヨ。

ここで、しとが口を開く。


「今、いちごが思ってる事についてだけど、僕たちも一応リア充だよ?」


ぐ、ぐぅ…痛い…うぅ、そうだよぉ!

だって、『リアルに充実』してるもん!

ここで、ん?って思った人!鋭い!しとは、人の心が読めるんだよ。不思議だ。

それにしても…暑いなぁ…


【しと目線】


あぁ…つまんない1日だ。こんな日々が小説とかになったら、皆とばすぞコレ。

あー、ゆずしお、『アタイ、アイスクリーム食べたい』とか思ってるなぁ~。

そこは僕も同情する。

きりん、『耐えろ!耐えろ俺!』って考えながらプール見てるな。

プール苦手なのか?

…これ、もういっそのこと異世界にとばされたりした方が楽しいんじゃないか?

ってぐらいに、同じような毎日が続いている夏休みだったんだ。

そう、考えた時だった。


「っつ⁉」


体に電流がはしり、思わず声が漏れた。そして、目の前が真っ暗になった。

                                     【ゆずしお目線】


ムク…と、ウチは起き上がる。なんか頭が痛い… 

えと、何があったんだっけ…電流が体に流れてきて、目の前が真っ暗になって…?あ‼12年間で一番頭使おうとしてるかも⁉なんか頭ゴメンナサイィィ‼


「何考えてんのさ、ゆずしお…顔が凄いことになってるよ、見てみ」


と、手鏡を取り出す、きりん。

女子力高ぁ!ウチなんて、ハンカチすら持ってないんだぞ⁉

って、ん…?手に重みを感じる?盾に、剣、手には☆マーク?

これって、これって、最近やったゲームの…?


「ウチ、勇者になってるぅぅぅぅー⁉」

「うるさぁぁーい‼」


きりんが叫び返してくる。って、そういうきりんは…盗賊? 

は?意味が分からん。

                                     【きりん目線】


ヤバいヤバい…あぁー‼何で手鏡なんて物出してしまったんだ…

俺の作り上げたイメージがぁ…

ん?今、ゆずしお気にしてない?よし。うん。大丈夫。はい!

唐突だけど、実は俺、皆より早く起きてて。

腕についてる端末みたいな物、いじくってたんだ。


「で…?」

「うっわぁ、びっくりしたぁ…しとか」


相変わらず心読みまくってんなーって、俺のか。

そうしたら、ゆずしおといちごも来た。


「何話してんの?てかさ、2人共見てよ!いちごが武道家になってるよ!」

「うん。なんかね。しとは…魔法使い⁉」

「「 いいな~! 」」


2人の声が揃う。はぁ…騒がしい奴らだ。話が進められないじゃないか。


「はいはい。話、きりんが進めたがってるよ」

「あぁ。皆驚かないで聞いてくれ」

「もう100年分驚いたから、この際、ドーンと来い!だよ」


話を入れるな、ゆずしお。


「皆分かってると思うけど…

ここはRPGゲームの世界…つまり、『異世界』なんだ」

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