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古代魚は無事にあの不思議な彗星の元までたどり着けたのだろうか? と、そんなことをふと思うようになった。小唄の友達の古代魚は、古代魚と同じ魚の姿をした、あの仲間たちと一緒に遠いところに旅立って行ってしまった。古代魚は今も無事に旅を続けているのだろうか? 古代魚はみんなとうまくやっているのだろうか? そんなことを次々と考えた。古代魚は僕のことをとても心配してくれていた。今も古代魚は僕のことを心配し続けてくれているのだろうか? 僕は古代魚の思いに応えることができているのだろうか?
……小唄は立ち止まって空を見上げた。そこにさそりの星はなかったし、白色の彗星の姿も見えなかった。そこには古代魚もいなかったし、睡蓮さんもいなかった。……小唄は一人ぼっちだった。それは本当に心細い体験だった。一人ぼっちになるという意味が、小唄はこのとき、生まれて初めて『本当にわかった』ような気がした。
小唄の目から、一粒の涙がこぼれた。
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