花束
如月美空
紫苑
高校三年生最後の夏。変わらない夏
私たち二人以外誰もない校舎のとある図書館で私たちはいつも勉強していた。
勉強は好きじゃないけど、勉強しているあなたの顔が好きだった。
「ちゃんと集中しなさい。御影」
「ごめんって春」
私の名前は御影朱、この子の名前は春菜月。ひらがなだけで見たら、春なの?夏なのって名前。
でも私はそんなところも好き。
いつも一緒でいつも一緒にかえって、こんな時間がずっと続けばいいのにって。
でもそうはいかない
私たちは親友以上、恋人未満。
勉強に行き詰まり休憩を挟む。私がお手洗いにたって帰ってくると彼女は寝ていた。
そっと音をたてないようにとなりに座る
「菜月、私は幸せなんだ、一緒にいられることそれだけでうれしいの。だから何も望まない。だから隣でずっと笑っててね?」
呟くように言う。聞こえてないなら、届かないから、少しぐらい漏らしてもいいでしょ
すがっても叶わないなら、願っても届かないなら。せめて今だけあなたのとなりにいたい、そんなことを考えているといつのまにか私も眠りについてしまった。
「ね、朱。私がなんであなたを名前で呼ばないかわかる?おかしくなるからよ。あなたのことが大切だから。だから、今だけはそばで笑っていてほしいの。ちゃんと思い出にするから。ね?」
小さい声で呟けば相手の頭を撫でる。
きっと相手にこの声は届かない。すやすやと寝る相手の顔がいとおしい。
あぁ神様私たちの関係は何てむごいのでしょうか
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