11/13 死にたくなった時のドライアイス

長い間人間やってると死にたくなる時もある。

死ぬか死なんかは別にして、そういう気持ちが湧き上がって、マジックや歌謡ショーのドライアイスよろしく、目に見えて下へ下へと這うように冷えた気持ちが広がっていくのだ。

きっかけは些細だったり、大雑把だったり、深刻だったり、なかったり。つまりは、常に自分の中の何処かで自分の中にドライアイスが用意されて、なにかふとした時に、小学生の自分がワクワクしながら水をそこに注ぐのだ。

そのふとした時は、叱られて怒られた時だったり、悲しい時だったり、全てに飽きた時だったり。

小学生のころ、このドライアイスの煙が好きだった。兎に角、楽しかった。みるだけで楽しいと思えるのは、世界でこれぐらいだと思っていた。

悲しい時、怒ってる時、暇な時、どんな時でもドライアイスがあれば水を注いで楽しんだ。

そんな自分が、まだどこかにいるんだろう。

随分前に死んでしまったと思っていたのに、どうやら水差しを持ったまま、自分の中のドライアイスに水を注ぐ機会を伺っていたのだ。


自分の中に、ドライアイスの煙が下は下へと這いつくばっては纏わりつき、足元を満たして行く。

きっと、飽きてしまった小学生の自分は目を輝かせながら、この景色を見ていることだろう。

この昭和の歌謡ショーのような舞台に、私は一人立っている。

カメラもマイクも観客もいない。


それでは聞いてください。私が歌います。


「はいはい、才能ないです!諦めてはよ寝ろ! ver.2024冬」

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