9/20 優しい世界
僕的には大親友であり、心の友である滅茶苦茶仲の良い作家仲間の成井大明神という方がいる。
成井大明神はカクヨムにも広い層に支持されながらご降臨されているので、ここを読んでいる人でも知っている人は多いかもしれない。
さて、その成井大明神なのだが、前世の徳の積み方がえぐいのかなんなのか、凄くいい人。滅茶苦茶いい人。
ご本人もさる事ながら、作品も、凄く優しい。別に酷い事がないとか問題が起きないとかではなく、登場人物が皆んな優しい。つまり、悪い奴がいないのだ。
この間、成井大明神とお会いした時にちらりと、その優しい登場人物の話をお聞きした。
僕の作品の多くは悪い人間で構成されている。彼らは優秀で、物語になくてはならない問題提供を良くしてくれる。
でも、成井大明神の作品にはそんな奴はいないのだ。だけど、ちゃんと物語が成立してて、ずっと不思議だった。作者的にも、問題提供をしてくれる悪役の方々がいた方が書きやすいのは明白だ。
だから、何故皆んないい人しかいない世界を書いているのか。書き手として辛くないのか、聞いてみた。
すると、こんな回答を得られたのだ。
現実も辛いのに、話の中でも辛いなんて嫌じゃない? 優しい世界の方がいいよ。
物凄く要約すると、こんな感じのニュアンス。
回答を聞いて思ったのは、この人の徳はどれぐらいなんだ。と、小学生の様な事を思ってしまった。
いや、まあ、現実辛いけど。辛いけど、それを無くしたら書く方も別の意味で辛いだろうに。
どんだけ徳を積んだらそれが苦じゃなく書けるんだ。
素直に、凄いなと、思った。
でも、その時はそれだけだった。
今日、悪役令嬢の最新話を更新した。
ネタバレだが、別に気にするほどの事でもないので、さらりと言う。
主人公の腕を切り落とした。
しっくり嵌るのが、それだったから。
今迄、主人公なんて殺すし、ぼこすし、もっと酷い事をやる時だってあるけど、今回初めて書いて動揺した。
こんな必要あるのか?
余りにも酷くないか?
読者はショックを受けるのでは?
初めて、そんな思考回路に陥った。
悪役令嬢は、多分僕の作品の中で群を抜いて読まれている。
勿論、他の人と比べればちっぽけな数かもしれないが、僕の中では最早奇跡に近い数字を悪役は叩き出していたのだ。
読者がショックを受けたらどうしよう。悪役令嬢の読者の大半は女性だろうに。刺激が強すぎて、離れてしまったらどうしよう。
ゲスな勘繰りだ。カスみたいな打算計算だ。それでも、自分が漸く手に入られた奇跡を手放したくなくて、僕は迷っていた。
話の流れ的にも今後の展開的にも、切り落とすのがベスト。しかし、それをしたら読まれなくなるのでは?
随分と心が揺れた。
ふと、そんな時に成井大明神の言葉を思い出した。
辛いなんて嫌で、優しい世界の方がいい。
そりゃ、そうだ。
僕だって、そうだ。
腕を切り落とすなんて、酷すぎる。これから二度と彼女の右腕は戻らない。やっぱり、やめよう。書き直そう。
そう思っていたんだが、成井大明神の話でも辛い事はある。
悪い人はいない。けど、すれ違いや、どうしようもない事での辛さがある。
僕は、一度成井大明神の言葉を真剣に考えてみた。向き合ってみた。
今まで他人事の様に、そんな世界もあるのかぐらにしか認識していなかったあの言葉を。
あれは、物語を書く人間なら誰にでも関係ある話で、最も大切な事なんじゃないかと思って。
考えて考えで、背中を押してもらいながらも、一つの答えをなんとか見つけ出した。
優しい世界って、人によって違って、成井大明神の優しい世界が悪い人がいない世界なら、僕の優しい世界は、人の行動を、頑張りを否定しない世界だ。
悪役令嬢の主人公であるローラは頑張った。彼女の頑張りを何の意味もない可哀想で否定するのが、僕にとっては酷い世界なんだ。
その結果、ローラの腕は見事に切り落とされた。彼女の頑張りの結果の如く、切り落とされた。
でも、やると決めても受け入れて貰えるかは、凄く不安で、凄く怖くて、震えながら更新した。
結果はわかんない。何人かは無理だと思うかもしれない。離れるかもしれない。
けど、いいんだ。
僕だって優しい世界が好きだ。
こんなにも悩んで、真剣に向き合って、迷い戸惑いながら小説を書いたのは久々かもしれない。
こんだけ頑張ったよ! と、残したくて、この日記を書きました。言葉にすると、スカスカ感あるけど、ほんますげぇ悩んだからな!
成井大明神の許可ないので無許可マンなんですが、なんか問題があったら言ってください。ごっそり消します。
いつもの日記だと楽しみにしてた人すんません。意外かもしれないですが、この日記書いてる人、小説も書いてるんですよ。たまにこんな話もしてしまいます。
そうだ。その成井大明神が連載中の作品がそろそろ完結らしいです。
是非、みんなも成井大明神の優しい世界を覗いてみてね!
嗚呼、青春のホリゾントライト!
https://kakuyomu.jp/works/1177354054890499776
僕は成井大明神の作品を読むと必ず引っ張られるので、悪役令嬢をある程度書きだめないと読めないのですが、読めるのが楽しみです。
自分にとっての、優しい世界。向き合ってみると、色々見えてくるんだなと、思ったところで今日は終わり。
おつかれちゃーん!
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