ここ神社
@kuro07rin
第1話
「先輩っ!」
チリンチリンと鈴の音を鳴らしながら、巫女装束を纏った娘が一人駆けて来る。彼女は、境内を掃き掃除している巫女の裾をくんっと引いて、満面の笑みを浮かべた。
「凛先輩! 結婚しましょう!!」
裾を引かれた巫女がゆっくりと振り返る。
「…相変わらず脈絡が無いわね。お断りするわ。」
「ええ〜!?」
「此方の台詞なんだけど。あなた、お仕事はどうしたの?」
「え、…えっとぉ、あはは」
はぐらかす為のぎこちない笑顔に、先輩巫女の凛は小さく溜息を吐いた。白い面布で覆われた彼女の瞳は今、恐らく呆れの色を映している。
「仕事に戻りなさい、亜留。」
「はぁい。」
「全く…口だけはお利口さんなんだから」
その一言を受けて、踵を返し掛けていた亜留が勢い良く振り向いた。
「何を仰いますか! 私はいつだって良い子です先輩!」
「仕事中に口説いてくる子を、良い子とは呼びません」
「じゃあ仕事後なら良いのですね!?」
「答えは変わらないけどね」
「はうっ!?」
ここ神社 @kuro07rin
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。ここ神社の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます