一番の・・・
勝利だギューちゃん
第1話
会いたくない時に、会いたくない人に出くわす。
珍しい事ではないが、僕の場合はそれが、極端に多い。
間違いなく、神様が意地悪をしている。
神様は、俺のことが、とことんお嫌いなようだ。
間違いない。
「何、古いネタやってんの?」
時が止まった。
会いたくない人に出くわした。
「出たー」
思わず声に出る。
「何よ、人をオバケみたいに」
「みたいじゃなくて、オバケだろ!」
「私は幽霊よ」
「同じようなものだ!」
「全然、違う」
オバケは万人に危害を加えるが、霊はターゲットにしか害を加えない。
この女の霊のターゲットが、俺だ。
「南無妙法蓮華経・・・・」
「何唱えてるの?」
「念仏」
「それは、御題目だよ。念仏は、南無阿弥陀仏」
「どっちでもいい」
「よくない。クレームくるわよ」
埒があかない。
この女は、生前は浮気ばかりして、男を捨てまくっていた。
俺もその被害者なのだが・・・
ある時、逆に男に捨てられて、そのショックで自殺をした。
自業自得だ。
そして、それを逆恨みに、かつて自分が捨てた男たちに、取りついている。
今日は俺か・・・
霊は暇なんだな・・・
「他の子たちは、もう話がついたよ」
「何の話だ?」
「私がした事を、許してくれたよ」
(本心なのか、あわれみか・・・)
「後は、君だけ」
「で、俺が許したらどうなる?」
「あの世へ行ける。もう、この世はあきた」
「それだけか?」
「うん」
もう、まとわりつかれるのもうんざりだ。
「わかりました。お許しします。成仏してください」
「ありがとう。これで、天国へいける。じゃあね」
ようやく消えた。
せいせいした。
ポンポン
背中を叩かれる。
「どうも」
「あなたは?」
「あの子の担当の死神です。これで私も、肩の荷がおりました」
「どうも・・・で、あの子は天国行くんですね」
「いえ、地獄ですよ。悪い事してきましたし、それに・・・」
「それに?」
【自殺は一番の大罪です】
一番の・・・ 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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