意外とスゴい鎌爪さん

「多いですね。南瓜。」

「あぁ、まだまだ奥には居そうだ。

しかも、これよりずっとデカイのがな。」

倒した南瓜を見てそう言う。

「鎌爪さん、何でそんな事解るんです?」

「見てみろ。」

そう言って南瓜を指差した。

「何が?」

「これだこれ。」

そこには爪のような、何かで切られたような痕があった。

「古い…といってもまだ塞がったばかりの…切り傷?」

「正解だ。

正しくは、他の南瓜の蔦攻撃の痕だ。

少なくともこんな傷を作るノーグ。俺は知らんからな。」

なぁるほど。

他の南瓜と争った痕ってことか。

「しかも、その痕から察するに、かなりの大物であることが窺える。

皆、注意しろ!!」

「「「了解」」」

「解りやした。」


鍬、鎌、トウミを担いだ5人は用心しながら草の中を歩いていった。

バイトをして知ったのは、農作物に対する知識だ。

従来の農作物との違いや生態や危険性、急所……………………… かなりの事を知った。

そして、その知識の大半を授けてくれたのは鎌爪さんだ。

トウミガンズ。名前は覚えてるけどあえて省略する。は腕は勿論良い。

少なくとも、俺の知る限り、俺や鎌爪さんを誤射した事はない。 本来なら農作物がトラックを追うように仕向け、荷台にのって射撃で削るのが運用法の主流らしい。

あんな重いのモンスターの前で構えるのは確かに如何かと思う。

それを難なく扱い、あろうことか走って撹乱&サポートアタックまでする。

かなりの実力者だ。

がそれほどの腕でも鎌爪さん程ではない。


ノーグ『鎌爪』は、前に言ったかもしれないが、威力は低いしリーチは短い。

重量分の重さがないから手数で戦う、近接特化のヒット&アウェー型。

農作物と付かず離れずを維持しつつ削り、トウミガンズの射線を通し、更にその上、のろまな俺を相手に気付かせないように動かねばならない。


命懸けの状況下でそんな所業をやる。

胆力と実力を兼ね備えた怪物故に出来る事だ。

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