第24話 犯人は異世界人!
「犯人は、異世界人だ……!」
しかし、決め台詞の甲斐もなく、周囲は急に不満そうな顔を浮かべた。
「……アサクラ……」
「……ええと……カイ……?」
凄く微妙な顔をしてらっしゃる。
……一人を除いて。
「い……異世界騎士……!」
だから、なにを目を輝かせてるのだ少年……? 確かに、若干だが夢のあるワードなのは認めるけど(正規の騎士じゃない上に見習いだけど)。
「……俺の身に起こった異世界転移減少にはあるルールがある。シーラも知ってると思うけど、あのスマホや服と言った『身に着けているもの』はどうやら一緒にこちらの世界へ持ち込まれるらしい。
ならば、この異世界転移現象によって俺の世界の住人が銃ごと運ばれてきた可能性はないだろうか?」
「ふむ……」とシーラ。
「うーん……」とアレックスくん。
「と、とにかく! 大臣さんに撃たれた銃弾を調べてくれよ! きっと俺の予想通りだから!」
「しかし、カイの言う実包とオートマティックという銃の説明は理解できます。そういうものの存在を念頭に置く必要はあるでしょう」
こっちの世界の住人として譲歩できるのはそこまでなのは仕方物無いだろう……。この推理に乗っかると、俺の『異世界人』の下りも肯定しないといけないのだから。
「しかし、随分と危なかっしいものがカイの地元では出回っているのですね。魔術不要の高精度な銃なんて……」
「銃刀法の手前、俺は触ったことないけど……。てことは犯人は某銃社会の国出身かもな……」
軍人とかの可能性だってある訳だ。だとすると非常にヤバイ相手を敵に回すことになる。
ちょうど銃持ってるときにこっちに連れ去られるなんて運が良いやら悪いやら、なんか俺との待遇ばかり違い過ぎる……。
「……異世界人にしたってよそ者はよそ者だろ? 他所者探しであることは今までとそれほど変わらない! 虱潰しに潜伏先を探そう!」
シーラはどこまでも現場主義だ。結局足で調べるしかないのは事実だが。
「この仮定が正しければ、犯人にも身元がない。……騎士団はそれを利用して匿ってる、とか?」
「騎士団の本部か、あるいは潜伏先を用意しているのか……ふむ……」
アレックスにもなにか考えがあるのだろうか?
「所持している銃の性能を買われて雇われたのかもな……俺が行き場をなくしてたのを考えるとありえるんじゃないか?」
「そういうことであれば! ボクら黒髪のネットワークが役に立つはずだよ! 『黒髪異世界騎士』のカイ兄ちゃん!」
「俺の属性がインフレを起こしているっ!?」
そして、ちょっとカッコいいから困る。
「影でコソコソ隠れるのは得意だからね。その辺の場所には心当たりがある」
「騎士団ルートも、ボクのコネを使って調べてみます」
「しかし……気をつけてくれよ。向こうは武器を持ってるんでから……」
かくして、第一回黒髪会議により捜査は僅かばかりの進展を見せるのだった。
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