安定の賢者と騎士団長3 怒りの騎士














ドカン!!




目の前で光が爆ぜる。




ゴーレムの拘束の手が緩まった。


「んのぉぉぉぉぉぉォォォォォォォォォォォ!!」


何が起こったかは解らなかったが、ブレイはありったけの力でゴーレムの拘束から逃れると、距離を取った。


追撃を警戒したが、その気配は無い。


「ブレイ!!」


「ホォ、大丈夫か!?」


「今のは一体?」


ブレイの目の前には死が居た。それが爆音と共に遠退き、ここに居る。


「マリッシア………何した?」


ブレイは問うた。


自分は手も動かせない状態だった。


ジョゴローとテポンは回復で動けなかった。


そんな中で自分を助けたのはマリッシア以外有り得ないと思っていた。


「え?私………何もしてない。」


マリッシアは魔法で攻撃していない。


したとしても、無効化されてお仕舞いだろう。


「じゃあ!………誰が魔法を……………?」








ブレイは見た。


一瞬、ゴーレム目掛けて走る紫電を見た。


強力な電撃。


マリッシアの魔法だと思った。 しかし、先程に有る通り、マリッシアの攻撃は、魔法攻撃は無効な筈。








誰が……………?








ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


そんな事を考えている内にゴーレムが再起動を始めた。


考えていても仕方が無い。




 「俺が時間を稼ぐ!テポンはジョゴローの回復!マリッシア!サポート頼む!」


 「ホォ、すまん!」


 「解りました。お気を付けて。」


 「行くわ!」






 回復組は下がり、マリッシアは移動しながら俺のサポート。


 俺は剣を握りしめ、切っ先をゴーレムへと向けて最短距離を向かっていった。




 空が光り、轟音が鼓膜を割ろうとする。


 目の前に閃光が落ち、視界が白く染まった。
















































 「成程。火と水を合わせて鍔から上昇気流を作り、それを風で強化することで、風の刃を作り出す。


 と、同時に、周囲に上昇気流を発生、低気圧を作り出すことで巨大な積乱雲を人工的に作り出して雷雲を発生させ、雷を落とす。


 そして、それは電気を通す金属。避雷針ライトニングロッドに引き寄せられ、電撃は先端部分から逃げていく。


 つまりは天候を操作して雷を剣に落として攻撃に用いる……………と。」


醒めた目で冷ややかに賢者を見下ろす騎士団長。


 「そうそう。強力で純粋な火と水の属性を持つ素材をわざわざ探して、しかもそれを水蒸気爆発を起こさない様に融合させながらそれを風の素材で上昇気流の刃を発生させつつ低気圧を生み出せるようにして、雷を引き寄せるようにもしておく。


 抜刀して一時間としないうちにスーパーセルや竜●巣を発生させることが出来るの。


 凄いでしょ?魔法を使わないで強力な電撃攻撃が出来るようになるの。


 如何?『雷魔剣』と見せかけて風の魔剣。と、思わせておいて雷雲と避雷針の魔剣!


 吃驚でしょう?」


 「それは吃驚です。


 何が吃驚かってこの状況下で僕が怒っていないとお思いってことですよ。いいですかタツミンさん?」


 顔に固定された笑みが貼りつき、眼が全然笑っていない挙句、明らかに殺意以上の何かを放っていた。。






 「えぇ……………………と………………。シモン君?怖い。怖いよぉ?笑おう?ねぇ、ちょっと?シモン君?怖い。眼が怖い。ちょっと?ねぇ、怖いよ?ねぇ、シモン君?シモン君……シモン君!シモン君⁉」




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る