前日譚(2)
デンドローノ=オウルズ著『古代の闘技場の謎』
この国のある場所には『古代の闘技場』と呼ばれる場所が有る。
石畳の広場の様な場所。周囲は森であるというのにここだけ木々は無く、異様な雰囲気を放っている。
この異様な雰囲気の場所。文献に残っている数が少なく、誰が作ったのか、何の目的で作ったのかも解っていない。
しかし、数少ない文献を調査した結果、この場所は古代の魔法文明が遺した遺跡であることを発見した。
しかも、この遺跡には古代文明の作り出した至宝が隠されているらしいことも判明した。
古代文明の至宝という言葉に惹かれて調査を試みたが、この遺跡の守護者に阻まれ、叶わなかった。…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………
「これ!調べてみよう!」
ブレイは目をキラキラさせて言った。
「……………ハァ。」
マリッシアは大きくため息を吐いた。
いつもの事であった。
ブレイは見ての通りの何も考えていない男である。
打算も計算も無く、考えという概念が無い。
何の縁も所縁もない村が山賊に襲われていると聞くと「行こう!」と引っぱってわざわざ山を越えて山賊退治に行くような男である。
しかも、それが連鎖する。
山賊退治の後、帰り道で更に問題を聞きつけてまた別の場所へ駆けつける。これを繰り返す。
目的を他三人が忘れる程。繰り返す。
ここまで目を輝かせている以上、調べて見せないと納得はしないだろう。
この場所が見つからない事を祈ろう。
見つかった。『古代の闘技場』。
森の中で、しかも周りに木が生えていなくて、見つかってしまった。
「テポン!ジョゴロー!来てくれ!」
大きな声で図書館中に響かせる。
白い目があちこちから刺さるが、他人のフリをしよう……………………………………………
「ホォ、コレか。その……闘技場というのは。」
サイモン=ヒロ著『一兵卒の這い上がり』
それを小脇に抱えたジョゴローがこちらに来て調べた内容を読む。
興味深そうに。
「成程、遺跡ですか。面白そうですね。」
カモヤ=フレン著『美味しいサバイバル調理法』
それを机に置いて、調べた内容を読む。
こちらも目をキラキラさせていた。
思い出した。テポンは確か遺跡マニアだった。
止める人が居ない。
最早これまで。
「次はここに行って古代の至宝を手に入れよう‼‼‼」
ブレイが叫ぶ。
「ホォ、面白そうじゃのぉ。」
「楽しみですね。」
ポン
目の前が真っ暗になりそうな中、誰かに肩を叩かれた。
「申し訳ありません。図書館の者ですが、五月蝿いので退館して頂けますか?」
図書館から強制退去と相成った。
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サイモン=ヒロ著『一兵卒の這い上がり』
若き王国の騎士見習いが様々な艱難辛苦や無理難題や試練を乗り越え、妖しい魔法使いに翻弄されながら騎士団へと入団し、最後は騎士団長になっていくサクセスストーリー。
王道で人気も高い。
カモヤ=フレン著『美味しいサバイバル調理法』
様々な種類のモンスターの捌き方、毒抜きや食べ合わせ、調理法、生息域等々の冒険者御用達の料理本。
網羅的かつ詳細にモンスターの調理を書いてあるため、評価は高い。
保存食や解毒料理、焚き木を使わない料理も収録されている為、野宿が多い駆け出し冒険者や山岳地帯や人里離れた場所で冒険する人までが利用できる汎用性が高い一冊。
最近、著者が第二弾を執筆中らしい。
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