ゴーレムVS勇者に成りたいパーティー7&前日譚(1)

 『火炎弾ファイアバレット


 煌々と燃える炎が弾丸のようにゴーレムに迫る。


 しかし、これも不発。






 『疾風弾ウインドバレット


 今度は空気弾。


 背後が駄目なら上空から、しかも風魔法なら発見は困難。


 これも甘かった。














 「今日は撤退します。お二人共、急いで闘技場から撤退を!」


 テポンの一声で2日目が終わった。










 一同とゴーレムの戦い。


 二戦目もゴーレムの圧勝だった。






























 「魔法は駄目。土も風も炎も水も消されたわ。しかも、背後も足元も上空も全部駄目だった。」


 「足元もダメでしたか。」


 「えぇ、風魔法もダメだった。アレ、視覚とか魔法感知とかじゃなくて多分、自分に向けられた魔法全部を無効化するような機能が有るんだと思う。」


 「ホォ、そりゃ厄介な………。が、マリッシア?そんな事出来るのか?


 魔法の無効化なんぞそうポンポン出来るもんじゃ無かろう?」


 「えぇ、魔法の無効化なんて、今の魔法使いにはそんな簡単にできるものではありません。賢者様でも無ければ魔法無効化の常時展開なんて夢の様なものです。」


 「流石古代の技術!そう簡単には勝たせてくれないな!」


 「ホォ、流石と言ったところじゃの。ま、その位の番人で守らにゃならないモンが有るっちゅー事じゃろ?」


 「そうですね、確かに。どんなものが有るかは書かれていませんでしたが、これだけの守りです。期待は出来るでしょう。」


 「ただ、勝てないのが問題なのよね。」












 ここに来た理由。


 それは周辺の人々から、『ゴーレムが暴れて困っている』という助けを求める声が聞こえたから。ではない。


 今回は完全に私的な理由。私欲。














 この4人がここに来た理由は、王立の図書館にて見つけた一冊の本が始まりだった。






















ランデメンド王国の王立図書館は、ある程度の制約はあるが、基本的に無料で図書館内の全文献を閲覧出来る。


 その中には生活に役立つ本や冒険者としての心得やモンスターの生態に関する日常的に役立つ本からここにしか存在しない希少な文献などが有り、かなり優れた施設であった。














 マリッシアの強い誘いも有り、彼女らのパーティーは図書館に出掛けた。


 各々色々ある本を見ては色々な本を見ていた。






















 「……こんな魔法の使い方も有るのね。」


 マリッシアは魔法に関する書籍を読み漁っていた。


 その中に、思わず呟いてしまうような一冊が有った。






コイ=ミュータツ著


『癖がヤバイけど使えればスゴイ魔法使用法』








 魔法には癖が有る。それは魔法によって、使用者によってさまざまである。


その中には『癖が凄くて使い難い。』


 と思うものが有るだろう。


 しかし、そう思ったら考え直すべきである。


 癖とは、何かに特化した、または何か一つの目的の為だけに作られたモノにおいて構造上避けられない要素である。


 それ即ち、場所や運用法を見極め、性質を理解すれば、この上なく役に立つ。ということの裏返しである。


 『癖が凄くて使い難い。』と思ったら、自身の魔法の技術や発想の未熟さを見つけ、見直してみるのが良いであろう。






 厳しい事も書かれているし、難易度が高すぎて実践出来ない事も多いが、実に面白い本だとマリッシアは思っていた。




 「マリッシア!見てくれ!」


 叫んだ。図書館内で。


 「ブレイ!図書館で大きな声は出さないで!」


 小声で叫ぶ。


 地声の大きいのは戦いにおいて奮起するし、聞こえないという事が無いので長所だが、短所としてはブレイが声量を調整できない点にある。


 「すまん!だがこれを見てくれ!凄い面白いぞ!」


 その手に有ったのは古ぼけた本。


 装丁はそれなりに良いもので、新品の時には本棚で輝いていたであろう事が窺える。




 デンドローノ=オウルズ著『古代の闘技場の謎』




 それがその本の名前であった。






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