一騎討ちまでの過ごし方(3)
「ここですか………」
デネブは辿り着いた。
1日目。デネブの部屋のドアを叩いたのは彼の部下だった。
その部下が彼に言った言葉に従い、彼はここに来ていた。
「賢者様の魔剣………か。」
部下曰く、賢者様の創った魔剣はステータスも優秀で、かの王国騎士団の団長、シモン様も使っているらしい。
これだけなら本来は噂話なのだが、
部下。否、彼が部下達複数の代表として来たらしいのだが、複数の部下が、とある人物から賢者様の魔剣についてこう聞かされたそうだ。
「賢者殿の魔剣は強大な力を持つ。使いこなせばそれ則ち強者である。」
と。
『剛剣鉄拳のゴウテツ』
数ヵ月前迄この砦に逗留していた彼がそう言ったと複数の人間が聞いていた。
彼程の猛者がそうまで言ったということ。
それは噂ではなく真実と考えて差し支え無いだろう。
すがる価値はある。
このままいけば敗北は必至。
一世一代の大博打をする価値はある。
何より、彼等が必死に私を思い、考えた結果が私を動かした。
例え魔剣が噂でも、悟き賢者様の事だ。
我々には思い付かない妙案を授けてくれるかもしれない。
そんな考えを抱きつつ、私は賢者様の塔のドアを叩いた。
「だからぁ、一騎討ち勝負なんでしょ?そしたら私が出来るのはこの魔剣をその人にあげる事くらいよ?」
「その魔剣、一体効果は?」
「えぇっと……抜刀した瞬間に半径10㎞圏内を自然界では分解出来ない致死性の毒で汚染させる、名付けて『死毒魔剣ポイズンヘル』よ。」
「よし、封印!」
「えぇー!!なんでぇ!?折角100年前に死んで変質した劇毒龍の毒袋、ローズスネークの変異種のローズヒュドラの毒牙、
何で何で?シモン君はなんで私の全力の趣味をいっつも封印したがるの?」
塔の何処からか2つの声が響く。
1つはどんな鈴や鳥のさえずりも褪せる様な女性の声。
もう1つはどこかで聞いた覚えのある声だった。
「何故かですって?決まっているでしょう!王国騎士団団長として、その世界を殺やる気の魔剣を封印する以外に私には考えられないんですよ!
何ですか?劇毒龍?アレは周囲5㎞が死体の毒で死の世界と化した禁忌領域にあるやつでしょう?
それに……ローズスネーク?王国がソレに2・3回滅ぼされかかってますよ?しかもその変異種?どんな悪夢ですか?
で……彼岸の花畑ヘブンフラワーガーデン?あの有名な、美しさに惹かれてやって来た生き物を毒殺して肥料にする悪趣味植物の群生地じゃ無いですか!
で、ハデシウムぅ?そりゃ腐食しないでしょうね、しないでしょうよ。それ自体毒ですもの!
一体タツミンさんは何の目的でそんなモノ作ったんですか!?」
「良いじゃない!どんな改造がされた植物も一発で除草できる除草魔剣。
除草作業が終わったら毒を時空間魔法で吸えば簡単に片づけられるし、最高でしょう?」
「改造された植物枯らすのにどんなもの持ち出すんですかぁ………。」
思い出した。
男の声。それはこの国一番の騎士。王国騎士団の団長のシモン=ヒーロー様の声だ。
前に王都で凱旋するのを見かけた事が有った。
そして、もう一人。消去法でもう一人の声の主が解った。
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今回はここに『死毒魔剣ポイズンヘル』のステータスを表示しておきます。
※今回この魔剣は使われません。『賢者の趣味は癖のヤバイ魔剣作りです。』の作中で死人は出ませんのでご安心下さい。
名称:死毒魔剣ポイズンヘル
レベル:149
耐久:SSS
魔法伝導性:G
魔法攻撃力:G
物理攻撃力:G
特殊:SSS
「え?弱くね?」と思うかもしれませんが、本編で語られたように性能は、「半径10㎞を地獄に変える極悪魔剣」です。
毒は特殊扱いとなってSSS評価を叩き出し、
ハデシウムの腐食の耐性がそのままSSS評価され、
後は攻撃力も何も無いので軒並みGです。
因みに、物理攻撃力Gですが、実際相手に斬りかかったら刀身が触れる前に相手の身体が刀身から撒き散らされる毒素で腐って消滅する為、
物理攻撃力G(SSS)
が正解です。つまり、フ●ゴのパープル●イズの破壊力と同じだと考えて下さい。
※因みに半径10㎞の射程は無風状態かつ気温が0℃の時の数値です。
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