大賢者の噂
それは、一つの噂であった。
と言っても、信憑性が割と高い噂であった。
冒険者の集まる酒場での雑談
「聞いたかよ?」
「ん?なんだ?」
「大賢者の魔剣の。だ。」
「大賢者の魔剣?」
「だぁ!知らねえのか?最近、大賢者が魔剣創りを始めたって噂だ。」
「何だそりゃ?大賢者の創る魔剣!?」
魔剣。
刀剣にも格がある。
大まかに言えば剣の切れ味や特殊能力の強さを表したもので主に以下の8つに分けられる。
なまくら→普通→無銘→銘刀→業物→魔剣→聖剣→神剣
魔剣は、『一から人間が造ることの出来る剣の限界』と言われている。
要は人間には魔剣迄しか創れない。が、その性能は折り紙付きだ。
が、
「魔剣ってのは本来、そう簡単に創れるもんじゃねぇ。ってのは知ってるよな?」
「馬鹿にすんな。腰に得物ぶら下げてる奴ならどんな駆け出しだって知ってらぁ。
魔剣は人間の創れる限界って言われちゃいるが、実際創ったら即世界に名を轟かせっちまうだけの力はある。」
そう、魔剣が限界ではあるが、実際に魔剣を創れるような輩はそうは居ない。
少なくとも包丁や駆け出し冒険者用の剣を創っていて偶然できる物ではない。
天才の中でも頂点に位置する人間が心血どころか己の命を捧げて創って出来るかどうかと言われる代物である。
「それを賢者が何本も創ったって専らの噂だ。」
「………………ハァ?」
絶句。
世界がひっくり返る級の噂である。
『魔王が世界に5人現れた。』とか。
『危険度SSS級のドラゴンが空を覆った。』とか、
そんなレベルの噂だ。
「ガセだろ。」
「あぁ、そう考えた方が話が早い。が、この噂が広がる理由がある。その根拠が今の王国騎士団長だ。」
「ん?騎士団長って、確か最近替わった、あの……シモン=ヒーローとか言う超新星か?」
シモン=ヒーロー。
弱冠24歳で王国騎士団団長となった最強の騎士と謳われる男である。
数年前、5万の魔物の群れが王国西部の草原に出た『ウェストモンスターパレード事件』において数万の魔物を一匹も殺さずに退散させた猛者であり、それを手始めにあらゆるところで伝説を打ち立てた正に英雄である。
「騎士団長の持ってる剣を見た奴がいて、そこに彫ってあったそうだ。
大賢者の銘がな。」
「…………………、だが、何で何本も。なんて噂が立ったんだ?
「酒場で騎士団長が酔った時に言ったそうだ。『大賢者から魔剣第一号を貰ったんだ。』ってな。」
「つまり、二号や三号が有るかもしれない……てことか。」
「あぁ。」
「………」
「………」
「「行こう!」」
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