第28章 春合宿は……
第279話 合宿開始
移動魔法を使えばアージナの別荘まで行くのも一瞬だ。
昼前に学校が終業式を迎え、そのままオマーチ勢を含めて研究室へ集合し、集合が終わって装備を確認したらもうアージナの別荘。
もう常識が世間とかなりずれてきたような気がする。
今でも他の一般人は馬車とか川舟とかが交通機関なんだよな。
軍や政府の一部では蒸気機関も少しずつ普及しているみたいだけれど。
いっそ自動車や蒸気ボートの普及前に魔法移動が一般化しないだろうか。
移動魔法が使えない国外等の長距離は別だけれども。
それとも移動魔法は危険すぎるから公にはしないかな。
俺達はごく自然に使っているけれど。
何かもう世の中よくわからない。
そう言うと何か全部俺のせいと言われそうだけれどもきっと違う。
今はそういう変革の時代なのだ、きっと。
さて、俺が呆けている間にも話は進む。
まずアキナ先輩、タカモ先輩、ナカさんの3人がお買い物に行くそうだ。
無論あの超ハイテク電気自動車でである。
「行ってらっしゃい」
全員で出発を見送る。
なおハイテク電気自動車はジゴゼンさんに所有者制限を付けて貰って、更に内部隠蔽措置とか逆鑑定魔法とかをかけた完全保秘対策済み仕様。
なお措置をお願いしたジゴゼンさんは内部機構を見て絶句していた。
まあその辺についてはそのうち色々話が出るだろう。
もう俺が関与できるような状態じゃ無い。
暴走したのはシモンさんとキーンさんだという事で。
でも記述魔法をインバーターの代用にして交流を使えば電圧調整なんかも含めもっと省エネルギーに出来るかな。
その辺は後程こっそりいじっておこう。
さて、シモンさんはアクアラングの調整やゴムボートの準備等をやっている。
バッテリー駆動の小型ゴムボートがいつの間にか出来ていたのだ。
「これがあれば多少遠くでも水中散歩できるよね」
勿論シモンさんの仕業である。
確かに楽しそうだけれどさ。
もう俺は何も言えないし言わない。
「ミタキもボンベの準備とか手伝ってよ。この辺の作業は多分一番得意でしょ」
ミド・リーに呼ばれてしまった。
仕方無いから潜水用ボンベの空気充填をやる事にする。
方法は簡単、空気をマイナス200度近くで冷やして液化してやるだけ。
ある程度液化して少量入れてやればそのまま気化して圧力が上がり外部の200倍くらいになる。
注意するのは酸素と窒素、二酸化炭素の濃度。それとあまり入れすぎない事位だ。
これを間違うと呼吸できずに人生にサヨナラしてしまうから。
そんな訳で取りあえず空気ボンベを12本準備。
鑑定魔法で空気の温度と濃度を確認する。
うん、大丈夫。
一応レギュレーターでも調整するようには出来ているけれど。
「では行ってくるのだ」
「こっちも行ってくるね」
身体強化組+タカス君の4名がひとつの組。
ユキ先輩、ミド・リー。ミナミ先輩、シモンさんの4人がもう1組。
それぞれアクアラング&ゴムボート装備で出て行ってしまった。
「私はちょっと魚を捕ってみる」
「私も行ってみます」
「なら俺もそうするか」
残った3人は魚捕りに岩場へ向かう。
装備は巨大な網とバケツだ。
あと俺は例によって空間&万能魔道具装備付き。
今回はゴムを使って完全防水仕様にしてある。
「今回は大きな魚がいそう。まず1回」
ドン、と岩場に響く音と震動。
そして予定通り魚が浮いてくる。
「水魔法と風魔法で集めます。キーンさんはこの網で回収して」
「わかりました」
浮いた魚は勿論浮かないで気絶している奴も水魔法で上へと押し上げる。
網が大きくて重いのでキーンさんがちょっと苦労している様子。
でも50
あと甲イカっぽいのとカニ、エビは俺が魔法で海中から集めた物。
今では空間魔法である程度認識して水魔法でコントロールしたりも出来る。
勿論気絶状態のものに対してだけだけれども。
1回でバケツ1個目一杯になるのはお約束。
でも初めて目にするキーンさんにはなかなか衝撃的だったようだ。
「こんなに捕れるんですか」
「1回目は魚が居着いているからたくさん捕れる。あとは場所を変えるか貝を捕るか。貝も美味しいから魚をこれだけ捕った後は貝捕りがお勧め」
確かにゴムボートとアクアラングで出た連中も魚を捕ってくるだろうしな。
貝を捕った方がいいことは確かだ。
「でも貝って簡単に捕れるんですか」
「場所を知っていれば簡単。例えばこれ」
フールイ先輩は岩場の隙間みたいな部分で専用オイスターナイフを搔き取るように動かす。
捕ったのはムール貝風の貝だ。
「他にもこことかこれとか」
捕ったのはあさりに似ているけれど岩場にいる二枚貝と牡蠣だ。
「こっちは単体で美味しいしこれはいい出汁が出る。砂浜の貝と違って砂が入っていないからお勧め」
「探してみます」
そんな訳でここからは貝捕りだ。
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