第146話 今回の会議内容

「おーい2人とも、こっちで会議やるぞ」

 上からヨーコ先輩の声が聞こえた。

「何の会議ですか」

「新人歓迎合宿の件だ」

 議題は理解した。

 でも疑問がある。


「何故そっちで会議をやるんですか」

「こっちの方が快適だからに決まっているだろう」

 何を当然のことと言わんばかりの口調だ。

 俺とタカス君は顔を見合わせる。

『断れるか』

『諦めろ』

 そんな会話を目でかわし仕方なく上へ。


 一応上にもテーブルもあるし椅子もある。

 更にリクライニングチェアもあるしキャンプコットまである。

 かつて作ったアウトドア用グッズの流用だ。

 テーブルに一応ついている者2名。

 リクライニングチェア2名。

 キャンプコットで昼寝状態1名。

 ぬるめの浴槽で伸びている者3名。 

 どう見ても会議という状態では無い。


「これで会議なんて出来るんですか」

「心配ないですわ。ほとんどの事は決定事項ですから」

 コットで横になっているアキナ先輩がそんな台詞を吐く。

 だったらこんな目の毒な場所に呼ぶなと言いたい。

 特に今のアキナ先輩、ビキニの上が強調状態なのだ。

 次に危険なフールイ先輩は浴槽内だからちょっとましだけれど。

 勿論俺とタカス君にそんな苦情を言える度胸は無い。


「それで合宿というのは?」

「次の次の週は1の曜日が祝日でお休みですよね。ですから5の曜日の授業終了から安息日、1の曜日と2泊3日で合宿をしようという話なのです」

 ついこの前も春合宿をしたばかりのような気がするのは気のせいだろか。

 でもそれを言っても始まらない。

 皆さん泊まりがけで好き放題やるのが好きなのだ。

 まあ俺だって楽しいとは思うけれどさ。

「場所はアージナにあるのアキナ先輩宅の別荘だ。この前合宿をした場所だな」

 あそこは行ったばかりだろう。

「今の季節海で遊ぶにはいい」

 フールイ先輩、理由は理解しました。

「カナヤ・マーの別荘はその日父が使うらしいんだ。だから今回もアキナ先輩の処にお邪魔しようという事になった」

 なるほど。


「アージナはここから距離がある。午後出発で明るい内に着けるか」

 タカス君がもっともな疑問を口にする。

「大丈夫だ。うちの蒸気自動車は馬車より数倍速い。寄り道をしなければ2時間くらいでアージナにつくことが可能だ」

 実際前に帰るときはそれくらいの時間で帰ってきたしな。


「飛脚人並みかそれ以上なのだ」

「道が空いていれば飛脚人より速いよ。遅い馬車を追い越したりするのに時間がかかっちゃったりするけれど」

 フルエさんが身を乗り出してきた。

「シンコ・イバシまでどれくらいで行けるのだ? 来るときは馬車と川舟を乗り継いで10日間かかったのだ」

「1日でも行けますけれどね。途中ヨーコ先輩の領地辺りで一泊した方が無難です」

「その程度なのか!」

 考えてみればこの世界ではそれくらい異常な乗り物なのだ。

 俺達の感覚では当たり前になっていたけれど。


「用意するものは前回と同じ装備。フルエさんとタカス君は着替えと水着、タオル等一般的な旅行道具でいい。参加費は会費で出すから一切いらない。朝のうちにここに荷物を置いて、授業が終わったらここに集合して出発。途中ドバーシとアージナで買い出しをする。そんなところかな」

「それでいいと思いますわ」

「僕は蒸気自動車をもう少し人数が乗れるよう改良しておくよ。今のままでも11人までは乗れるけれど、この前みたいな事があるとまずいしね」

 予期せぬ途中同乗者が出ると困るという事だろう。

 あの人は何処で出てくるかわからないから。


「新人歓迎合宿って何をするんですか」

 タカス君がもっともな質問を口にする。

「海鮮祭りと肉祭りだよな」

 おいヨーコ先輩、それ欲望ダダ漏れだし新人には通じない。

 案の定2人とも? という顔をしている。

「基本的には美味しいものを買ったり捕ったりして食べるだけです。今回は魔獣狩りは出来ないですから、捕るのは魚や貝等の海鮮ですね」

「代わりに肉は新鮮なモツ含めて用意させていただきますわ」

 おいおい本当に海鮮祭りと肉祭りかよ。

 でもそれならタレの材料も今のうちから集めておいた方がいいかもしれない。

 何なら次の週に買い出しに行ってもいいだろう。

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