第13章 リゾートモードの筈なのに
第111話 海水浴より優先事項
さて翌日、朝食の後は海だ。
この別荘はプライベートビーチとプライベート岩場が両方ある。
ビーチは遠浅ではなく割とすぐ深くなるタイプ。
岩場も同じで一番海側の岩の下は
さて今回、シモンさんは合宿に際して新兵器を用意していた。
例えば頑丈な繊維で作った魚掬い用の網。
以前牡蠣を取るのに使った刃の無いナイフ。
何でも掴めそうなトング。
採取物回収用のバケツと保冷ボックス。
海辺で一休み用の自立型タープ。
流石にコットやリラックスチェアは場所を取るから遠慮して持ち込まなかったようだけれども。
今回はボートほど積載量に余裕がなかったからな。
でも魔法アンテナは全員持ち込んでいるし、
蒸気自動車も積載量をもう少し増やした方がいいかもしれない。
さてそんな事はともかくまずは海だ。
何故か泳ぐより先に皆さん食料採取にいそしんでいるがそれも海の楽しみ方。
フールイ先輩が岩場の先で爆発漁法をはじめた。
ヨーコ先輩とシンハ君が網を持って浮いてくる魚を掬っている。
他の皆さんはほとんど牡蠣狙い。
泳ぎつつ岩の水面下にひっついている牡蠣を剥がしている状態だ。
ならば俺は違う物を狙おう。
今度はウニだ!
生でもいいが焼いてもいい。
ウニバターに加工してもいいな。
そうすればパンにもあうだろう。
そんな訳でトングとバケツを持って岩場を探す。
本当は泳ぎの練習をするつもりだったが、皆さん採取活動はじめてしまったしさ。
俺も負けじと採取開始だ。
◇◇◇
やってしまったと思った時には手遅れだった。
日焼けだ。
午前中で気づいただけまだよかったのだろう。
取りあえず午後はTシャツを上に着ておこう。
既に手遅れな感じで熱さを感じるけれど。
さて昼食だ。
主食は軽く焼いたパン。
おかずがウニバター、焼き牡蠣、あさりのスープ、カルパッチョ。
カルパッチョの魚は黒鯛もどきとベラっぽい魚、あと鰹の仲間っぽい魚。
それに昨日購入してきたマンゴーもある。
かなり豪華な感じだ。
勿論美味しくない訳がない。
「やっぱり海にくるとコレだよね」
「でもこのつぶつぶのは初めてですわ」
「パンに塗ってちょっと熱を通すと美味しいです」
うん、ウニバターも好評でなによりだ。
「それにしてもあんな針だらけのものがこんなに美味しいとは思わなかったな」
「これも他の世界の知識ですか」
「そうだけれどさ。実は食べるのは初めてだ」
ネットで見たりした事はあるけれど。
俺が体験した事は既にこの世界の方が多くなっている。
前世が前世だから仕方ないけれど。
マンゴーも完熟したものは甘くてトロトロでこんなに美味しい。
ちょっとした臭みも実際に食べないとわからない事だ。
それでもこういった事を楽しめるのは前世での知識のおかげ。
それが無ければ俺はただのひ弱な中等部生に過ぎない。
それにしても皆さんよく食べるよな。
いつもながら感心する。
大体俺の3倍くらいは食べている感じだ。
皆さんあの食べている分は何処に消えているのだろう。
さしずめフールイ先輩あたりは胸だろうか。
いかんいかん水着だと余分な事を考えてしまう。
◇◇◇
食事後、海へ出ようかどうか迷ったが、結局室内でのんびりする事にした。
健康体であっても体力が無いのはそう変わっていない。
こればかりは体質という奴だ。
そんな訳で自動車の改良案とか次の開発案をのんびり考える。
自動車はもう少し荷室を増やした方がいいだろうな。
床下の余っている場所や石炭庫のあたりを少し改良して載せるとしよう。
あとは逆転器のレバー、もう少し細かい調整が出来た方がいいようだ。
これはまあ支点の位置を変えてレバーを伸ばせばいいだろう。
それにしてもこのピストン式の蒸気機関は便利だ。
ギア切り替え無しでも前進後退が出来るし、速度も
この世界の道路事情では
他に魔法杖の改良なんてものも考えている。
以前抵抗にコイルを使った時、何らかの減衰効果があるのは確認した。
ならばコイルとコンデンサを使って周波数調整みたいな事は出来ないだろうか。
そういう発想だ。
蒸気自動車以前から考えてはいたが、3学期が忙しすぎて手が回らなかったのだ。
取りあえず実験装置を作ってあとは地道な実験だな。
何せ計算式とか何も無いのでデータを積み重ねる必要がある。
具体的な実験調査は新学期の課題にしてもいい。
でも実験装置だけはまず作って動かしてみたい。
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