第19話 追記 -アサキの日記-
「追記。
特筆すべき事項が増えた。
わたくし令堂和咲は、なんとなんと、変身バトル魔法少女アニメの、主人公になってしまったのです。
あ、いや、別にアニメではないし、主人公にもなってはいないか。
驚き声を張り上げているだけの端役みたいなもの、といった方が真実に近いか。
普通の人に説明しても絶対に信じてくれないと思うけど、ヴァイスタなどと呼ばれている人間の生命を脅かす謎の生命体が存在し、そしてそれと戦う組織が存在するのだ。
そのヴァイスタにわたしは襲われ、異空(いくう)というおかしな世界に引き込まれた。
殺されそうになったわたしを、間一髪のところで助けてくれたのが、中学で同じクラスになった明木治奈ちゃん。
わたしは、負傷した治奈ちゃんに代わってヴァイスタと戦った。
治奈ちゃんの特別なリストフォン(クラフトというらしい)を借りて、魔道着とかいう姿に変身して。
なんとか倒すことが出来たけれど、本当に怖かった。
顔のパーツがないものだから表情がないし、感情もなさそうで。
でも時折感じる思念のようなものが、それはもうひたすら恨みに満ち満ちていて、世界中の人の負の心を集めてもなお追い付かないくらいの、とんでもない悪意を感じるもので。
そんなのと殺し合いをしたんだ。正直、まだ心臓のどきどきがおさまらない。
酷く動揺している。
まだ、怖い。
ヴァイスタについて、
戦う組織について、
明日になったらもっと詳しい話を聞かせてもらえるということだ。
早く寝てしまって、早く朝がきて欲しいけど。
眠れるのだろうか。」
第一章 完。
ここまでお読み頂き、ありがとうございます。
ちょっと暗い感じに始まったこの物語ですが、背景自体はシリアスなんだということを伝えるため、あえてそうしました。
第二章からは、ほのぼのダラダラぐでーっとしたギャグ路線へと入る予定です。
どこかで展開切り替えのスイッチを入れて、そこからは一気にラストまで持っていくつもりですが、どこでスイッチが入るのか。気長にお付き合い頂けますと幸いです。
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