第01話 またまた転校生?
「いや、よくきてくれたねえ。大きくなったねえ」
ずんぐりむっくリで、なんだか子熊に似ている、
「はっ、関東なんかきたなかったけど、しゃあないやろ。おとんが恩のあるっちゅう、おっちゃんに声を掛けられたんじゃあ。面倒やけど、しゃあない」
机越しに向き合い立っている、ショートカットの女子生徒は、そういうと、おでこに手を当てて気怠そうな顔で髪の毛を軽く掻き上げた。
非常に整った可愛らしい顔立ちであるが、少しいやかなり気が強そうにも見える少女である。
長い前髪を横に流しておでこを出しているところが、なおさらそうした雰囲気を強調させているだろうか。
彼女の着ているのは、女子制服。
ではあるが、フロックコートっぽい上着に、膝下丈の長いスカートなど、ここ天王台第三中学とはまったく違ったものである。
「うちちょっと雰囲気が緩いから、あの子たちこれでピシッとするといいんだけどなあ。一つ上の学年の
「うーん、相変わらずのゴリラ顔やなあ」
全然ひとのいうことを聞いていない女子生徒、腕組みしながら校長の顔に自分の渋い顔を寄せて、まじまじと見つめている。
「いまそんな話してないでしょお? キミが入ってピシッとするとか褒めていたのに、全然聞いてなくてやっぱゴリラ顔やーんとか、おかしくないかなあ?」
「動物園にも飽きてきたし、さっそく教室に行ってくるわ。ほいじゃっ」
女子生徒は、ははっと笑いながらスカート翻し校長室を出ていった。
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