白いカラス
雨世界
1 私は嘘が嫌いです。
白いカラス
プロローグ
私は嘘が嫌いです。
本編
……私たちは、ずっと、一生友達だよね?
それは、とても暑い夏の日の出来事だった。
沙織(さおり)はその日、初めて千歳(ちとせ)と出会った。
千歳は黒塗りの高級車から降りたところで、そこを偶然、森の中の道を散歩していて通りかかった沙織が見つけたのだ。
天気は晴れで、空は青くて、近くではセミが鳴いていた。
それは本当によくできた(まるで台本のある有名な舞台の上のような)シチュエーションの、太陽が二人の真上に輝く、夏の日の真昼のことだった。
千歳は東京から引越しをして、この緑豊かな山奥にある、沙織の暮らしている全寮制の学校にやってきた、とても美しい少女だった。
千歳はその美しさと、それから頭の良さで、すぐにみんなの人気者になった。
沙織はそんな千歳と同室になった。
少し前にある理由によって、沙織の同室にいた生徒はいなくなっていたので、そこに、ぽっかりと空いてしまった穴を埋めるようにして、千歳がその場所に収まったのだった。
それから沙織と千歳はすぐに仲良くなり、二人は親友同士になった。
それは二人が十二歳のときの出来事だった。
そして、それから一年の時間が過ぎて、沙織と千歳は十三歳となり、中等部の一年生になった。
その年の夏の日。
突然、なんの前触れもなく千歳が全寮制の学校からいなくなった。
そして沙織はまた、(前のように)一人になった。
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