1-3-3 鑑定


 洗礼を終えて教会を後にし、屋敷に帰る馬車の中、私はシリーと授かった魔法について話しています。

「お嬢様、どんな魔法を授かりましたか」

「うん、シリーの予想通り目を使う魔法だったよ。見せてあげるね。『鑑定』」

 私はシリー対して『鑑定』を発動します。


 使い方は洗礼の時に頭に刻み込まれました。

 私の使える魔法は『鑑定』、目で見るか、手で触った物全ての情報を知ることが出来ます。ただし情報の内容と量により必要となる魔力や消費されるMPの量が変わってきます。

 例えば、果物を鑑定したとすると、種類を知るには魔力1が必要で、より詳しく甘さを知るためには魔力3が必要です。どこの産地か知るには魔力12必要ですし、どんな肥料を使ったかなどの栽培方法を知るには魔力62が必要です。

 つまり、魔力8の人は『鑑定』で産地を知ることが出来ません。

 そして知った情報の量だけMPが消費されます。産地の情報を1回得ればMP消費は12です。2つの果物の産地情報を得ればMP消費は24といった感じです。

 MPが足りなくなれば回復するまでは情報を得ることが出来なくなります。MPは魔素があれば自然回復します。


「お嬢様、勝手に他人を鑑定してはだめですよ」

「・・・」

 シリーを『鑑定』した私は思わず固まります。


 この鑑定結果はいったい何だろう。

――――――――――

名前 シリウス(シリー)

種族 女神

階級 12階級

職業 メイド 神のお使い

――――――――――


 何故女神が私の専属メイドをしている?

 私って何かおかしいのか?

 私って何者?


「お嬢様どうしたのですか」


 そうだ、自分を『鑑定』すれば全てがハッキリする。

 私は自分の頭を両手で押さえ、最大魔力でこう唱えたのでした。


「『鑑定』」


 あふれる情報、急激に消費されるMP、激しい頭痛。

 暗転する意識の中、目が覚めたらシリーに、否、女神シリウスに色々聞かなければならないと考えながら意識を手放したのだった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る