かくいう筆者も消毒液とまではいかなくとも、入院前のアルコールまみれのヘロヘロ状態の時には酒を買いに行くのが面倒で、身近にあった料理酒を飲んだこともある。


 前述のようにアルコール依存症の症状の中でもやっかいなのは、しばらく断酒が続いていてもアルコールが体内に入るや否や飲酒のコントロールか効かなくなることだ。


 だから病棟の食事では、醤油は湯煎でアルコール分を飛ばし、毎朝のように出ていた納豆にはタレ(アルコール含有)も付いていなかった。


 また院内の売店では、洋菓子(プチケーキなど) アイスクリーム、調味料など わずかでもアルコールが含まれている食品には『アルコールが含まれています』と大きく表示されているし、消毒液、整髪料なども飲む人がいるため、アルコール含有の表示がされている。


 さらに、消毒液や化粧品、整髪料などは わずかながらでも、皮膚から体内に吸収されるため、院内での所持使用は厳禁されている。



 また『抗酒剤こうしゅざい(抗酒薬)の問題もある。


 抗酒剤とはアルコール依存症者に処方される処方さ薬で劇薬指定されている。

 具体的な商品名は書くのを控えるが、粉薬とドリンク剤があり 無味無臭。


 これを服用して、さらにアルコールを摂取すると人工的に急性アルコール中毒の状態を作り、長時間強烈な苦しみが続く。

 これにより、飲酒の抑制に繋がるのだが、それでも飲酒に走る人がいるし、化粧品や整髪料、注射時のアルコール消毒で皮膚からのアルコール摂取で苦しむこともある。

 だから、アルコール依存症専門病棟での注射消毒には、アルコール綿は使わず、別の消毒液を使っている。



 ただ、病院退院後は、いちいちアルコール含有を確かめることも少なくなるし、抗酒剤も劇薬のため 医師と相談の上、徐々に減らしていき やがて止めることになる。


 本当は、今でも醤油程度のアルコールでも避けるべきなのだが、食事に行ったりした先で、アルコール含有を確かめるのも、湯煎を頼むのも先方に失礼に当たるし 何より現実的でないため今は注意をしながらいただいている(明らかにアルコールの臭いがするものは避けているが)



 まあ、この手の話は今後も度々記すことになるが、記すことで自分がアルコール依存症という病気に罹っていると確認する意味も込めて(いや、これが大切だと思うのだが)書いて行くことになる。



 今回は、雑感には ほど遠い話になってしまった。



 好きな物を楽しめない。

 依存症とは、因果な病気だと思うが、自分の生き方の結果なので受け入れるしかない。



 

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