第189話 黄昏危険区域レベル5
新しい任務ということで、僕たちは早速準備に入っていた。
「ユリア。調子はどう?」
「シェリー。まぁ、悪くはないかな」
あれから解散した僕は、ちょうどシェリーと一緒に昼食を食べることにした。先輩や他の人も誘ったのだが、別の任務があるらしい。こればかりは、仕方がないだろう。
僕はいつものようにカレーを注文して、彼女と食事を共にする。
「黄昏危険区域レベル5だけど、実際はどうなの?」
今回はまだ調査という名目だが、僕らはその先に進むことになった。そして、レベル5より先を経験しているのは僕だけ。実際は、レポートにまとめているのでそれに目を通しているだろうけど、シェリーはおそらく実際に直接話を聞きたいのだろう。
「……正直言って、レベル5以降はかなり厳しいね。一級対魔師でも厳しいかもしれない」
「ということは、やっぱり特級対魔師しか行けないってこと?」
「セーフティーを保つなら、そうだね。特級対魔師じゃないと、戻ってこれないだろうね」
「魔物は変異種がいいのよね?」
「そうだね。基本は変異種だね。通常種はほとんどいなかったと思うよ」
あの時の記憶はまだ鮮明に覚えている。
魔物は通常種はいなく、獰猛な変異種が多かった。体の形や色、その他の性質も異なっている変異種。
相手にしたことはなのかあるが、基本的には逃げることの方が多かった。
当時は急に魔物の強さが桁違いに強くなったので、かなり戸惑った。ここでまともに戦っては、自分は死んでしまうと思ったので逃げることを優先したものだった。
「なるほどね……ユリアが逃げるほどなのね」
「でも今のシェリーなら通用すると思うよ。ただ問題は物量だね」
「物量?」
「うん。基本的には群れで行動していることが多いね。それに共食いも多い」
「うげ……共食いはちょっと」
まさに弱肉強食の世界。
自分たちの群れが劣勢になれば、仲間を食べて栄養を補給する。そんな生態も兼ね備えているのが、黄昏にいる魔物だ。
僕たちはこれから、そんな世界に足を踏み入れないといけない。
おそらく、一匹一匹の魔物に遅れをとることはないだろう。問題は物量と、魔物の性質。特に毒や麻痺を持っている魔物は非常に厄介だ。
その辺りにも注意しながら、戦う必要が出てくる。
こればかりは一級対魔師であっても、かなりギリギリになってくる。特級対魔師でやっと相手ができるくらいだろうか。
といっても、特級対魔師を全員派遣するわけにもいかないので、今回は選抜されたメンバーだけになるのだが。
「ねぇ、ユリア」
「どうかしたの?」
「私、頑張るから」
「……そうだね。一緒に頑張ろう」
「うん」
改めていうことではないが、僕らはそれを言葉にした。それはきっと、誓いでもあった。
◇
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